■繰り返し使用するときは要注意! エマージェンシーシートが劣化する原因と対策

指でこすってアルミが付着するようなら危険信号

 問題のスケスケシートを観察すると、折り目の多い部分(クシャクシャなところ)や座ったであろう部分のアルミが多く剥がれていた。また、指で強くこすったり、ガムテープを貼って剥がしたり、濡れた布で拭いたりすると、新たにアルミが剥がれた(別製品だが、最近購入した未使用品で同様のことをしても、アルミは剥がれなかった)。

 このシートは一度使用した後にしっかり点検せずに適当に折りたたんで密閉袋に入れたままにしていた。おそらく、使用した時の汚れや湿気が長時間付着していたのだろう。それらが原因でアルミに錆びや腐食が発生し、剥がれやすい状態になってしまったと思われる。

 ポリエステル材のエマージェンシーシートは100~500円程度で購入できるため、「使い捨て」と割り切っている人が多いだろう。しかし筆者が調査した限り、どの製品も「再使用不可」とは特に表記されていない。筆者のように再使用する登山者は少数派かもしれないが、一度使用したポリエステル材のシートを繰り返し使う場合は、扱いに注意しよう。長期間保管する場合は、汚れや濡れを取り除いて乾燥させ、できるだけクシャクシャにならないように畳んだほうがよさそうだ。

 反対にポリエチレン材のエマージェンシーシートは、繰り返し使えると表記されているものもある。ポリエチレンはポリエステルに比べ、シートが柔らかく伸びるため、折りたたみやすく高耐久とされるからだ。しかし同じアルミを貼り付けた製品なので、剥離がないとは言えない。使用後は同様のメンテナンスを行った方がよいだろう。

 エマージェンシーシートを使う機会はそう多くない。使用後のメンテナンスを適切に行ったとしても完全には安心できないから、他の装備と同様にエマージェンシーシートも年イチで点検することをおすすめしたい。まだ使用していないシートも、購入から月日が経っている場合は保管環境を含め、この機会に一度点検してみてほしい。