■剣山~三嶺縦走【登山レポート】
今回は、「見ノ越→西島駅→剣山山頂→次郎笈(じろうぎゅう)→丸石避難小屋→白髭避難小屋→三嶺山頂→三嶺ヒュッテ(泊)→三嶺山頂→地蔵の頭→天狗塚→天狗塚登山口」のルートを1泊2日で歩いた登山をレポートする。
通常、四国での移動は坂出に出て宇多津などでレンタカーを借りるのが便利だ。見ノ越には駐車場があり、行きはここに車を置き、帰りはここまでバスで戻る計画だ。
始発のロープウェイに乗り、西島駅から歩いて1時間ほどで山頂に到着。木道が整備されており歩きやすい。有人小屋の剣山山頂ヒュッテがあり、お土産購入や食堂としての利用や宿泊も可能だ。『山と高原の地図』では、この山小屋に宿泊して早朝に出発し、三嶺を目指す縦走をおすすめしている。
このルートの醍醐味は、どこまでも続いて見える深い山々の手つかずの大自然が残った笹原の美しい稜線歩きだ。360度のパノラマを楽しんでから、縦走路へ入る。急に人の気配が少なくなり、同じ行程を進むのは他に2~3パーティだけだった。
晴れたり曇ったりの天気だったが、それもまた美しく幻想的な景観を作っていた。シカの食害で荒れた次郎笈(じろうぎゅう)のピーク付近は、シカ害なのか自然荒廃なのか不明だが、立ち枯れた白木が印象的だった。それは点々と、森歩きや丸石、高ノ瀬などのピークを経て何度も現れた。
このルートには避難小屋が3つあり、緊急時のビバークや計画内の宿泊だけでなく、雨風をしのぐため、休憩にと使い勝手がいい。ただ、週末などは混み合うこともあるため、保険としてテントを持参したり、収容人数の多い三嶺ヒュッテ泊を検討するのが安心だ。
山頂付近は急坂で、鎖場もある。登山者同士がすれ違う場合は落石などしないよう声をかけたり、配慮が必要だ。
三嶺山頂を経て、東に少し下ると先ほど紹介した三嶺ヒュッテが見えてくる。筆者が到着したときには池畔で水を飲むシカがおり、すぐに逃げてしまったが最秘境の大自然を感じる光景を目の当たりにした。
翌朝はそれまでの好天とうって変わって、風が強かったため朝霧による霧氷が育ち、白くなった木々や笹原を横目に見ながら初冬の山を感じる縦走となった。10月中旬でもよくあることのため、防寒対策は念入りに準備したい。
三嶺ヒュッテから東へ、名頃には2~3時間で下山できる。今回は足を延ばして天狗塚まで行き、天狗峠から下山した。久保まで下山し、1日2本しかないバスを何もない林道で待つ予定だったが、下山路でたまたまご一緒した年配の男性にかずら橋の近くまで車に乗せてもらった。