■札幌近郊にある紅葉オススメの天狗三山

天狗になった気分で登る天狗岳。登山道があっても急峻なので注意は必要だ

 北海道の札幌近郊にもいくつか天狗と名のつく山がある。その中でも紅葉登山にオススメなのが、定山渓天狗岳、小天狗岳、銭函天狗山の三山だ。それぞれに標高や見える景色が違い、異なった特徴を見せる。山の高さなどで選定される百名山とは違った、低山ならではの魅力に溢れている。

 どの山もサイズや所要時間、移動アクセスなどが便利なところも良い。紅葉の美しいこの時期、観光などと組み合わせて登る山としても適している。

●定山渓天狗岳

紅葉の中にそびえ立つ定山渓天狗岳。麓からの山を見るだけでも一見の価値あり

 定山渓天狗岳は標高1,145m。今回紹介する三山の中ではもっとも登山道の難易度が高く、所要時間も長めだ。“札幌の奥座敷”定山渓温泉から山間に進んだ先に登山口がある。

 駐車場にある小屋から2kmほど林道を歩くと登山口がある。前半は沢沿いのコースだが水量は少ない。中盤から一気に急登となり、気の抜けない登山道が続く。集中して慎重に先へ進みたい。

 最後はよじ登るような岩峰部が待っているが、頂上部はくつろげる平場があるので、ゆっくりと景色を楽しめる。高度感あふれ、眼下に広がる紅葉が見事だ。一般的なペースで山頂までの所要時間は3~4時間ほど。

●小天狗岳

この写真の撮影日は11月だが、10月中であれば湖と紅葉の素晴らしい景色を見下ろすことができる絶景ポイント

 小天狗岳は定山渓天狗岳から続く、一連の山並みの末端にある765mの山。定山渓天狗岳に対して「小」とついているが、ダム湖である“さっぽろ湖”に面していて雰囲気は全く異なる立派な山だ。

 登山口は定山渓ダムのダム下流園地の奥にある。駐車場は広いが、ゲートの開放時間がある。さらに11月初旬以降は閉園となり立ち入れないので要注意。所要時間は上りで1時間半ほどだが、ずっと急登が続くので侮ってはいけない。だが頑張って登れば苦労が報われるほど素晴らしい絶景が広がる。

●銭函天狗山

札幌市街と石狩湾を間近に見下ろせる絶景

 海沿いにある銭函天狗山の標高は536.7m。標高こそ三山の中で最も低いが、山頂部が完全な岩山のため展望が良く、遮るもののない360度の大パノラマが広がる。

 銭函天狗山は札幌から近いが、住所はお隣の小樽市。登山口が少々わかりにくいが、大倉山学院の奥に駐車スペースと登山口がある。登りの所要時間は2時間弱。海と山と紅葉、さらに札幌市の街並みまで欲張りな展望を楽しめる、侮れない低山だ。上部にある岩壁はロッククライミングのルートでもある。

 札幌近郊には広葉樹に覆われた低山が多い。例年10月中旬から紅葉の見頃を迎えるので、これからがベストシーズン。登山と一緒に紅葉観光を楽しんでみてはいかがだろうか。