北海道を代表する山域、大雪山系と十勝連峰。この2つの山域は登山道でつながっている。大雪・十勝全山縦走と呼ばれる代表的なルートは旭岳から富良野岳までの約70km。この長大なルートにトレランスタイルで1DAY走破に挑戦した。その後半部分となるトムラウシ山から十勝連峰の山への模様をお伝えしたい。
■スタートから順調に進む大雪山系から核心部へ
旭岳温泉の登山口を出発してから8時間半後にトムラウシ山に到着。ここまで35kmの登山道は比較的整備の行き届いた歩きやすい道だ。そのためペースもつかみやすく、条件さえ整っていれば問題はない。しかし、トムラウシ山から十勝連峰のオプタテシケまでの区間は状況が変わる。
大雪山の中でも最も広大な高山植物帯が広がる三川台は、かつてはトムラウシ山への日帰り登山の人気ルートだった。しかし登山口へ至る俵真布林道が崩壊してから長く通行止めが続いており、ほぼ廃道状態となっている。この先の区間をいかにスムーズに抜けられるかが、この全山縦走を走破する鍵となる。
トムラウシ山を後にして、南沼を越えると登山道の状態は怪しくなってくる。長く登山道整備は行われておらず、通行する人も極端に少ない為に足下が見えないほどの笹かぶり状態だ。しばらくはこの笹をかき分けながら進むことになる。
笹かぶりとはいえ、道はまだ残っているので大きな問題はない。1時間ほどで三川台の分岐に到着する。直進する俵真布方面への登山道は見る影もない。十勝連峰へはここを左折するが、間違えようもない状況だ。ここからオプタテシケまでの10kmほどが、いよいよ核心部。
■アクシデント! 体調不良! 水不足…… 後半の十勝連峰
この区間はツリガネ山、コスマヌプリといったマイナーな山を越えていくが、三川台の登山道以上に長い期間登山道整備が行われていなかった区間だった。
しかし、数年前にオプタテシケ山側のもっとも荒廃が進んでいた場所が笹刈りされ、かなり改善されている。とはいえ、表大雪のようにスタスタと進める道ではない。生い茂った這松を手でかき分けながら進むので、時間も体力も消耗する。そんな中で、切り株で足を切ってしまうアクシデント。絆創膏では収まらない傷。動けないほどではなかったが、ペースは落ちてしまい、気温の上昇とともに水分の消耗も早くなっていった。
なんとか核心部を抜け、このルート最大の難関にさしかかる。それはオプタテシケ山への標高差600mの急登。双子池の水たまりで水分補給をして、いよいよ後半の十勝連峰へ入るのだが、この時点ですでに体調はすこぶる悪く、先が思いやられた。
オプタテシケ山の登りを1時間では登り切ることができず、13時45分にやっと山頂へ到着。すでに想定タイムよりはかなり遅れていたが、ここからが頑張りどころ。スタートから約50km進んできた。残りは20km。
十勝連峰の道は、アップダウンやガレ場はあるが比較的歩きやすい。走り切れれば早いのだが、この時点での自分には早歩きが精一杯だった。