■登山セクション! ゴールは旭岳頂上2,291mまで

 約10分で姿見駅に到着した。背の高い樹木が生育できず、低木しかなくなるところを森林限界というが、まさにその言葉どおりの景色が広がっていた。標高1,600mからは獲得標高691mを自分の足で上がる。距離にして2km程度だが、斜度があるため呼吸は苦しい。さらに、足元はゴロッとした岩で、歩きにくく、どことなく富士山のよう。カヤックと自転車で、腕も脚も想像以上に疲れているので、無理をしないように、と自分に言い聞かせる。

微かに硫黄の香りが漂ってくる登山道の8合目あたりを一歩ずつ上っていく。途中から視界を妨げるように霧が降りてきて、気温が一気に下がる

 7合目を過ぎたあたりから霧がかかり、なかなか景色が開けない。わずかに九十九折りになっている茶色い山道を歩く。9合目を越えたあたりから風がビューッと凶暴になり、踏ん張らないと飛ばされる。畳みかけるように体温を奪ってくるので、思わずフードを被る。先にゴールした参加者が戻る際に、言葉をかけてくれるのはありがたい。

山の上側の雲が抜けていくと、青空が。森林限界の先の荒涼とした道が続く。ザクザクと上を目指して歩く

 「もう少しで頂上ですよ、頑張ってくださいね」急に目の前に平らな広場が現れたと思ったら、そこが旭岳の頂上だった。強風の中、スタッフが待っていてくれる。参加者の何人かと一緒にゴールする。2,291m。ここが北海道最高峰である。

ゴールの頂上は強風が吹き荒び、スタッフが一所懸命にフラッグを支えてくれるところを記念撮影。少しだけ晴れ間も見えた

■選手全員で目指すSEA TO SUMMITの魅力

 海や湖などのシーレベルからマウンテントップまでを自分の足で移動することで、鳥瞰図のように山の様相が浮き彫りになってくるので、感動も大きい。地球の美しさを再認識できる。山頂に着く頃には自分がたどってきた道が眼下に広がっているからだ。これがSEA TO SUMMITの醍醐味ともいえるだろう。

 本来ならばカヤック、自転車、登山は別々でやることが多いと思うが、レンタルバイクもカヤックもあり、全てを個人でやってもいいし、チームを組んで一緒にいってもいいし、選択肢は多い。1人で参加したとしてもレースではないので、参加者同士で励まし合うのも素晴らしい。全員で一つのゴールを目指して、頑張れる。

 また、閉会式では、各自治体や各メーカーの豪華な景品が当たる抽選会があり、ほぼすべての選手に行き渡るくらい多いのも特徴だ。地元の美味しいお米やお酒もあるので、いいお土産になるだろう。

大雪旭岳ステージは10回記念大会のため、個人の部、チームの部合わせて170名ほど集まった

 気になった方は、ぜひ新たなアウトドアアクティビティの旅である「SEA TO SUMMIT」にチャレンジしてもらいたい。

【次回の大会インフォメーション】
SEA TO SUMMIT 宮城県加美町 2022年10月08日(土)09日(日)
ホームページ:https://www.seatosummit.jp/