■忠別湖からスタートする! カヤック・SUP・パックラフトの異種格闘技戦

カヤックの間を抜けてSUP(スタンドアップパドルボード)でパドリングをする参加者。個人参加、チーム参加、自分の艇、レンタル艇など様々な編成で漕ぎ進む

 もう一つ、この大会の面白いところは、水ステージ(海、川、湖のどれか)は色々な乗り物で参加できること。ライフジャケットやセルフレスキューできることが条件だが、カヌー、カヤック、SUP(スタンドアップパドル)、ダッキー、インフレータブルのラフトボートなど多種多様な乗り物での参加が認められている。

 スタート地の忠別湖は、2007年に旭川市の水瓶として完成させた多目的ダム。ここ数日続いたゲリラ豪雨によって少々濁っていたものの、間もなく一年で最も美しい紅葉がやってくる。本州よりも少し早い時間に朝日の光が降り注ぐ神々しい湖面を見ながらスタート準備を進める参加者たちの笑顔は、印象深かった。

 大会カードをスリットに通したら各選手が静かに出発する。この時期でもセミの鳴き声がないので、パドルを使って水をかく音がよく聞こえる。折り返しを通過するころには、雲が散り散りになり、雄大な旭岳の姿が望めた。

■自転車のステージはほぼ上りの約15km

カヤックの後に自転車に乗り換えて旭岳ロープウェイの駅まで目指す参加者。一番前は元オリンピック・スピードスケート選手の岡崎朋美さん。北海道斜里郡清里町出身で、SEA TO SUMMITが大好き。オホーツク大会にも参加したとのこと

 カヤックを5km、1時間ほど漕いでスタート地点に戻ったら、サンダルをシューズに履き替え、自転車用ヘルメットを装着し、バックパックを背負う。中には行動食、飲料水、ファーストエイド、ジャケットが入っている。

 トライアスロンなどで、競技を切り替える場所のことをトランジションという。経験者ならご存知だと思うが、自分が乗る自転車と荷物を別のところに置いておくと時間がかかってしまうので、自転車の真下にヘルメット(上向きに)、シューズ(紐靴の場合は解いておく)、そしてバックパックを縦に綺麗に並べておくと移行しやすい。忠別湖が標高400mくらいなので、ここから獲得標高700mへ。ほぼヒルクライムだ。

 自転車は全て舗装路なので、軽量なロードバイクが有利。とはいえ、MTB、クロスバイク、折り畳み小径車、E-BIKEと様々な種類のバイクが通り過ぎていく。自分の愛車に跨って、大自然の中を走る楽しみは格別だ。道道1160号旭川旭岳温泉線は容赦無く斜度を上げていくが、周りは何もないほど自然が多いので、汗を流してひたすらペダルを踏むのも案外気持ちがいい。

厳しい傾斜が続く旭岳温泉エリア。直線ではなく、右に左にカーブを乗り越えてペダルを踏んでいく。参加者たちの苦しい表情が垣間見れた。かくいう筆者も大腿四頭筋と肺が破裂しそうになったが

■みんなでロープウェイに乗って姿見駅まで

旭岳ロープウェイ山麓駅から姿見駅まで参加者や一般登山客と同乗した。この間、しばしの休憩となって良かった

 時折、立ち漕ぎして上り切り、旭岳ロープウェイ山麓駅の前に到着。サイクルラックにバイクをかけて、ここで登山装備を整えていく。自転車のセクションで荷物を背負わない人は、荷物を運んでもらえる、デポジットサービスもある。

 ここからロープウェイに乗って姿見駅まで上がる。何人かの参加者、一般登山客と一緒に乗り込んだ。旭岳の情報のアナウンスが流れ、雄大な景色を眺めながら、しばらく休憩ができたのは良かった。