■体験で学ぶ塩作り

親子で楽しみながら塩作りを体験できる「赤穂市立海洋科学館・塩の国」(写真提供:「赤穂市立海洋科学館・塩の国」)

 「赤穂市立海洋科学館・塩の国」(入館料:大人200円、小中学生100円)は塩について学び、塩作りの体験ができる施設。「科学館エリア」では「瀬戸内海と塩」をメインテーマに、「塩のギャラリー」「赤穂を知ろう」「海へのいざない」「海を知ろう」の4つのゾーンに分かれ、赤穂市の特徴や日本の塩作りのポイントを広く学べる。

 「塩の国エリア」では、揚浜式(あげはましき)塩田、入浜式塩田、流下式(りゅうかしき)塩田など、かつての製塩方法が紹介され、入館者は実際の塩づくりを無料で体験できる。参加者に好評で、イベント感覚で楽しむ家族連れも多い。

 体験は流下式塩田で、採取された「かん水」(濃い塩水)をコンロで煮詰めて、実際に天然塩を作るところからはじまる。手順は、

① 塩分濃度18%のかん水(約250ml)が入った鍋をコンロにかけ、火をつける。
② 沸騰すると、かん水の色が白く変わり、塩の結晶ができる。
③ 次第に水分がなくなり、のりのようになったらコンロの火を消す。
④ 土鍋を火からおろし、余熱で乾燥させると、約45gの塩ができあがる。

 といった流れだ。水の中に塩の結晶が現れる変化は興味深く、子どもはもちろん、夢中になるお父さんの姿も見受けられる。

 ほのかな甘みが特徴で「自分で作ったものは格段においしい」と、子どもたちに好評。この様子を夏休みの自由研究にする児童も多いという。

児童が塩田で表面の砂をかき起こす作業を体験する様子(写真提供:「赤穂市立海洋科学館・塩の国」)

 また、塩田に溜めた海水を太陽熱と風で濃縮し、塩を結晶させる「天日濃縮」の作業も体験できる。「潮かけ」など、道具を使って砂の上から海水をかける作業や、表面の砂をかきおこす「ひき浜」などは江戸時代をイメージできる貴重な体験だ(小学3年生以上の校外学習のみ対象)。

「釜たき」の実演の様子(写真提供:「赤穂市立海洋科学館・塩の国」)

 塩作り最後の工程の「釜たき」の実演(現在は新型コロナの感染拡大防止のため休止中)。ここでは「かん水」を幅3mの大きな釜で炊いて塩を作る、「職人技」の様子が見学できる。

 家族で体験した塩作りは最高の思い出になり、子どもの自由研究のテーマとしても活用できそうだ。持ち帰った手作りの塩は、食卓で使う度に話題に上り、食事の時間が盛り上がるかもしれない。

●赤穂市立海洋科学館・塩の国

住所:〒678-0215 赤穂市御崎1891-4
電話:0791-43-4192

URL:http://www.ako-kaiyo.jp/