■アウフグースとは?
かつてないほどのサウナブームが起こっていますが、筆者も約2年前から毎日のサウナが欠かせなくなり、日本全国へサウナ遠征をするほどサウナにハマっています。
さて、「アウフグース」という言葉を耳にしたことがあるでしょうか。アウフグースとは、サウナ室の中で熱したサウナストーンにアロマ水などをかけて蒸気を発生させ、タオルを使って熱風を送る行為のことを指します。アウフグースを行う人のことを「アウフギーサー」や「熱波師」と呼びます。
日本でも数年前から各地のサウナ施設でアウフギーサーによるイベントの認知が広がり、その人気は右肩上がりになっています。実はこのアウフグース、ドイツやオランダなどヨーロッパを中心にポピュラーなパフォーマンスとして知られ、タオル捌きはもちろんのこと、衣装や使用するアロマ、小道具、映像、音楽や照明に至るまで細部までこだわり、まさに“魅せるエンターテイメントショー”として技術が磨かれているのです。
■「アウフグース」の技量を競う世界大会がある
年に1度、世界大会の出場権を得たアウフギーサーが世界各国から集結し、アウフグースの技を競う世界大会「Aufguss WM」が、主にヨーロッパで開催されています。
●世界大会の予選が日本で開催された
今年は日本人が初めて世界大会に出場することになり、その出場者を決める予選大会「Aufguss Championship Japan」(以下ACJ)が日本で7月に開催されました。会場は、横浜にあるサウナ施設「スカイスパYOKOHAMA」。スカイスパは、音響や映像など世界大会基準の設備があるサウナシアターを昨年11月にオープンさせたばかりで、サウナ愛好家にも大変人気がある施設です。シアターを完成させた翌年にACJの開催を実現させたところにスカイスパの熱意が感じられますね。
ACJの出場者は、2名以上の団体が13チーム、個人が32名。団体、個人ともに優勝者と準優勝者は、9月13日からオランダで行われる世界大会の出場権を、3位入賞者はスロバキアで行われるプレイオフの出場権を得られます。4名の審査員により採点され、評価基準は以下採点表の通り。大変細かく項目が設定されています。
●評価項目の一例
ただ単に風を上手に送ればいい訳ではないのです。一例を挙げると、タオルのテクニック以外に「他国にも通じるストーリー」「テーマに合ったアロマの使用」「サウナ室内の整理、備品の扱い方」「自身の汗の処理」「観客とのコミュニケーション」「パフォーマーのカリスマ性や雰囲気」「急激な温度の上昇はNG」などなど。アウフギーサーは、サウナ室という過酷な環境下で15分ほど全力で動き続けるうえに、エンターテインメントとして観客を喜ばせる必要があります。それだけでも感動に値しますが、ここまで細かい採点項目があるとは驚きました。