■日本最大の運河

兵庫運河と六甲の山並み

 海運で栄えた兵庫津。海の難所を避けるために計画された兵庫運河は、25年もの歳月をかけ明治32年に完成した。

 兵庫運河とは、兵庫運河(本線・支線)や新川運河など、このあたりにある5つの運河の総称で、水面積(約34ha)が日本最大級の運河だ。航行する船もめっきり減ったが、今でも沿岸の工場で作られた新幹線車両がここから船に積まれて運ばれるなど活用は続いている。

新川運河沿いに整備された散策路
兵庫運河には豊かな生命が宿る

 運河の一部はその役割を終えて散策路として整備され、市民のための憩いの水辺になっている。

運河の開削で失われた兵庫城跡

 運河の開削で失われた兵庫城跡は、兵庫県庁が最初に置かれた場所でもある。ちなみに初代県知事はあの初代総理大臣・伊藤博文だ。

 江戸時代に一帯の中心だった兵庫は、県名にはその名をとどめたが、後に外国人居留地のできた隣の神戸村の隆盛に飲み込まれ、兵庫県神戸市兵庫区となった。この成り立ちは神奈川県横浜市神奈川区とまったく同じである。

 心地よい海風を受けながら運河を歩き、長く紡がれた兵庫津の歴史に思いを馳せるのもまた格別だ。