登山鉄道と聞けば、まず思い浮かぶのは箱根や高野山だろう。しかし、人口150万人を超す日本有数の大都市にも登山鉄道がある。兵庫県神戸市の六甲山系を駆け抜ける神戸電鉄だ。

■山岳路線の魅力を伝える「全国登山鉄道‰会」

 山岳路線の魅力を伝えるため、2009年に結成された「全国登山鉄道‰会」という鉄道事業者の親睦団体がある。箱根登山鉄道、南海電鉄、富士急行など全国7社が加盟し、神戸電鉄もそのメンバーだ。

 「‰」はパーミルと読み、勾配を表す単位。1000m進む間に何m標高が上下するかを表す。たとえば、上り35‰であれば、1000m進んだ時に標高が35m上がっていることを意味する。

■最急勾配50‰の神戸電鉄

 神戸電鉄は全線69.6kmの8割以上が勾配区間で、最急勾配は50‰にもなる。国土交通省が定める省令の基準では、通常の鉄道は最も急でも35‰とすると示されていることから、さすが登山鉄道といったところだ。

有馬線各駅の標高と、前駅からの平均勾配(図:へんいち(平野俊己)