京都府舞鶴市は「海上自衛隊舞鶴地方隊」や近代化を象徴する明治時代の倉庫群「舞鶴赤れんがパーク」などが人気の観光地。高台の「五老スカイタワー展望台」からの眺めは美しく「近畿百景」で1位に輝く絶景だ。

 夏に旬を迎えるグルメは「岩ガキ」や「トビウオ」で、その味を求めて足を運ぶリピーターも多い。また、毎週金曜日にカレーライスを食べる海上自衛隊の風習にちなんだ「金曜日のカレーライス」を地域ぐるみで広めるまちおこしも進められている。今回は絶景や夏のグルメが楽しめる舞鶴の観光地の魅力を紹介する。

■迫力「イージス艦」停泊の海上自衛隊舞鶴地方隊

「海上自衛隊舞鶴地方隊」に停泊する大迫力の護衛艦(写真提供:海の京都DMO)

 舞鶴湾に沿って市内を走る国道27号線沿いには「海上自衛隊舞鶴地方隊」の10数隻の自衛艦がずらりと停泊している。舞鶴市は日本海側で唯一の基地となっており、砲台やレーダーを備えた護衛艦の多くは長さ100m以上、深さ10mを超える「巨大な壁」のようだ。

 国道からも目と鼻の先に見える灰色ボディーの護衛艦の迫力は度肝を抜き、思わず「おおーっ!」と声を発してしまうほど。

 なかでも、イージス艦「みょうこう」は長さ161m、深さ21mで、観光客を圧倒する。年数回、自衛隊敷地内の「北吸(きたすい)係留所」が一般開放される日もあり、艦艇を間近に見学することもできる。

■異国情緒あふれる「赤れんが倉庫群」

大量の飲料水を保管していた「赤れんが倉庫」の内部は見上げるほど大きい(写真提供:海の京都DMO)

 舞鶴地方隊のすぐ隣のエリアには、近代化が進む明治、大正時代に建造された赤れんが倉庫群が存在感を放つ。舞鶴市にある「舞鶴赤れんがパーク」だ。

 異国情緒あふれる西欧風の大きな建物は、明治33(1900)年以降、大正時代にかけて次々に建てられた。その時期によって建物の工法や内装も異なり、内部がれんが製のものや、鉄骨と組み合わせた大空間を取り入れたものなど、時代のトレンドが表われているのも興味深い。

 これらは、旧海軍の武器や弾薬の倉庫として建てられたもので、舞鶴市で最古の鉄骨れんが建造物となっており、現存する12棟のうち8棟が2008年に国の重要文化財に指定されている。建物は博物館やイベントホールとしての利用のほか、結婚式会場としても活用されており、今も「現役」で地域住民に親しまれている。

 また、赤れんが倉庫の中には飲料水の保管庫として用いられた建物もあり、ガイドの案内を聞きながら見学できるコースもある。さらに、赤れんが倉庫や自衛隊護衛艦の様子は、1日2~6便が運航する「海軍ゆかりの港めぐり遊覧船」からも眺めることができる。

●限定公開!舞鶴赤れんがガイドツアーの案内URL:http://www.maizuru-kanko.net/spot/sightseeing/akarengatour.php

■「五老ヶ岳展望台」から望む絶景は「近畿百景」1位!

「五老スカイタワー展望台」と舞鶴湾の絶景は美しい(写真提供:五老ヶ岳公園)

 自衛隊護衛艦と赤れんが倉庫のノスタルジックな雰囲気が広がる舞鶴湾は、美しいリアス式海岸が広がる。その「灰色と赤茶色」が融合した情景は、海抜375mの高台にある五老ヶ岳(ごろうがたけ)公園の「五老スカイタワー展望台」から眺めるのが人気で「近畿百景」で1位に選ばれ、市のシンボルにもなっている。

 展望台からは360度の大パノラマで舞鶴市街地の景色が広がり、護衛艦のほかに客船や商船が行き交う様子も眺められ、時が経つのを忘れてしまうほど穏やかな時間が過ごせる。また、公園には遊歩道があり、芝生広場や簡単なハイキングコースも備えられている。

穏やかな舞鶴の海は、快晴の日はキラキラ光り、夏は飛び跳ねるトビウオが見られる(撮影:ブラボーマウンテン編集部)

 ほかにも、市内には海の絶景を望むビューポイントが数多くある。筆者が訪れたときは、照りつける陽射しできらきら光る海面を楽しそうに飛び跳ねるトビウオの姿を見ることができた。穏やかな海と躍動感がマッチする光景は舞鶴の夏の風物詩で「ここに来てよかった」と思える瞬間だ。