■たくさん釣らない

大きなカサゴならば1匹釣れれば十分だ

 穴釣りをしていると同じ穴でカサゴが連続で釣れることがある。だからといって釣れた分全て持ち帰るのはNG行為だ。なぜならカサゴは定着性が強く行動範囲が狭いからだ。

 カサゴにとって条件が良い場所ならば、近くにいるカサゴがまた同じ場所に入るかもしれない。しかし、何度も釣り続けたらどうだろうか。行動範囲が狭いカサゴは遠くから回遊してこない。近くにいたカサゴがいなくなれば、その場所ではもう釣ることはできなくなってしまうのだ。

 「自分しか釣ってないから」「まだ一回目だから大丈夫」と思うかもしれない。しかし、そういった好条件の場所は色々な釣り人に知られているスポットである可能性が高い。一人一人の意識が大切だ。まずは自分から率先してリリースするようにしていこう。

■卵を抱えているカサゴ

卵を抱えているカサゴはお腹が丸く膨らんでいる

 卵を抱えているカサゴは無条件でリリースだ。当然だが、カサゴが増える機会を奪うことになるからだ。親カサゴ1匹逃がせば、1万から5万匹、多い個体で10万近くもの子孫を残してくれる。リリースする方が得策だろう。

 カサゴは体内で卵をふ化させる卵胎生という繁殖方法をとるため、産むのは仔魚になる。仔魚は行動範囲の狭い成魚とは違い、広い範囲を漂流し流れ着いた先で定着する。カサゴはそのようにして生息域を広げていくのだ。

 そのため、卵を持っているカサゴを逃がすことが直接釣り場のカサゴを増やすことには繋がらない。しかし、釣り人がみな意識を徹底すればカサゴが増え、間接的に釣り場にも戻ってくる。カサゴにも釣り場にも優しい結果となるのだ。