厳冬期の北海道は凍てつく寒さ。その分、極寒の地ならではの自然現象は本当に美しい。気温や湿度、地形的条件などが整いやすい場所を見つけるのが絶景と出会う近道だ。朝・夕の条件の整いやすいタイミングにその場にいることも大事。だが、広い北の大地であてもなく絶景を探し求めるのは、あまりに効率が悪い……。
大雪山系と日高山脈の間。道東よりの道央に位置する「星野リゾート トマム スキー場」ではこの時期、厳しい寒さがつくり出す自然現象のオンパレード! 神秘的な景色のなかを滑るのは思い出に残る体験だ。またゴンドラと山頂直下の「霧氷テラス」を利用することで、スキーやスノーボードをしない人でも手軽に絶景に出会うことができる。コロナ禍の影響もあり容易に移動できない状況ではあるが、せめて写真で美しい景色を楽しんでもらいたい……。
■THE 定番! ダイヤモンドダスト
空気中の水蒸気が冷やされることで、氷の粒となり発生するダイヤモンドダスト。別名「細氷」。キラキラと輝く様子は、“天使の囁き”とも呼ばれるくらい優しさを感じる現象だ。見ていると“ほっこり”して、なぜか寒さを忘れてしまう。
無風状態で湿度があり、さらに気温−10℃以下が発生の条件だが、厳冬期のトマムならほぼ毎日チャンスがあると言っても過言でない。晴れた朝・夕に見えやすいが、日中に観察できることもある。
■チャンスを逃さずに! サンピラー
ダイヤモンドダストに光が反射して柱状の煌めきが現れるサンピラー(雲中の氷晶の反射などに起因する別のパターンもある)。朝・夕の太陽の角度が低いときに発生しやすい。
輝きながら揺れるような光の柱は、神々しく息を呑むほどの美しさだ。ハッキリとした光柱が長く見えているときもあれば、淡く一瞬で消えてしまうときもある。ダイヤモンドダストが発生しているときはチャンス! 太陽の方向に発生するので、期待できそうなときは常に気にしておくのがポイント。
■風物詩“トマムブルー”と霧氷
樹々に白い花が着いたように見える現象は、霧氷、樹氷、樹霜……。生成条件の違いで呼び名は違うが、見分けるのは難しい。とにかく大気中の水分が過冷却されるような冷え込みが必要だ。風穏やかにしんしんと雪が降り積もった後には、枝に着雪した様子も美しい。
寒さ厳しいトマムでは、霧氷は冬の風物詩。決して珍しい現象ではなく、その発生確率は約70%(※1)とシーズンを通して高い確率で鑑賞することがでるという。
※1 霧氷テラスでの霧氷発生率の平均(2020/21 年度、星野リゾート調べ)
“トマムブルー”の淡く透明感のある青空と、繊細な飴細工のような造形のコントラストに見とれてしまう。霧氷はゴンドラに乗りながらも眺めれるが、2021年8月にリニューアルした霧氷テラスの展望デッキは、のんびりと霧氷を眺めることができ快適だ。