■青年小屋の裏手から編笠山の絶景ピークへ

雪に埋もれた青年小屋のテント場。夏はここでよくテントを張っている

 西岳から源治新道を通って編笠山に向かうと、ひらけた鞍部に青年小屋がある。小屋の入口に赤提灯を提げていることから「遠い飲み屋」と呼ばれて親しまれている山小屋だ。裏手はテント泊にうってつけの広さで、ぼくもたびたび衣食住を背負って通っている。

冬季は閉鎖しているため、トイレなどには気をつけよう

 閉ざされた小屋の入口は雪で埋まっている。雪の量が多い今年は、もっともっと積もっているのかもしれない。ほどよく風をしのげる場所に座布団を敷いて、簡単に食事をとる。ぼくはソロで歩くときは昼食というほどのものはとらず、行動食を中心にしている。大き目の袋にお菓子や菓子パンなどをたっぷり入れて、適当に漁って食べるのだ。保温ボトルは大きめのものを持ち、自宅で仕込んだハチミツ湯を持って出ることが多い。厳冬期こそ、ほんのり甘い湯を飲むとほっとするし、五臓六腑に染み渡るとぐっとあたたかくなる。

 空腹具合が落ち着いたら、ここから編笠山のゴーロに取り付く。大きな岩がゴロゴロしているところを「ゴーロ」と呼ぶのはそのまんまだけれど、文字通りの岩がちな山肌をアイゼンで登るのはちょっとしたコツと慣れが必要となる。そうして乗り越えた先には圧倒的な絶景が待っているのだ。