長野県の菅平高原・根子岳(ねこだけ)では、風雪にさらされた山肌の樹々が「スノーモンスター」へと順調に成長している。2022年、年明け最初の連休最終日は晴天に恵まれ、山頂付近は登山者やスキーヤーで賑わっていた。ただいま成長途中の樹氷は“モンスター”と呼ぶには可愛らしい姿だが、並んだベビーモンスターが青空に向かって立ち上がる様子は迫力があった。

■スノーモンスターって?

根子岳山頂の森。スノーモンスターは順調に成長中だ

 スノーモンスターとは、厳しい寒さのなか針葉樹が風雪にさらされることにより、雪と氷に覆われて育っていく様子を表現した「樹氷」の呼び名である。

 過冷却水が葉などにぶつかるとその衝撃で瞬時に氷着く。そこへ降った雪も着雪していき、雪と氷が焼結(融点以下で結合しあう現象)して大きくなる。風上側から順に白くなり樹木全体が覆われ、巨大な白いお化けのようになれば、完成形だ。

 スノーモンスターといえば、八甲田山や蔵王など東北のものが有名だ。規模こそ小さいが、根子岳、菅平周辺は、冷え込みは厳しいものの晴天率80%を誇り、青空と合わせて鑑賞しやすい。

■自然の造形を楽しむ!

近寄って見ると、造形美がおもしろい

 いろいろな角度から見てみよう。方角を変えると雪の着き方が違うので、形が変わる。近寄ったり離れたりしてみてみよう。近寄れば、エビノシッポ(着氷の形)や表面についた霜の結晶が見えるかもしれない。遠ざかれば、大きなお化けが同じ方向に傾いて並んでいるのが見えるかもしれない。自然の現象が雪景色となって美しい痕跡を残す。じっくり眺めて楽しみたい。

 長野県でも有名な寒冷地である菅平高原。標高2,207mの根子岳の山頂付近は晴れていても1月の平均の最高気温は、なんと−7.5℃! 防寒対策はしっかりとしていこう。この厳しい寒さが神秘的な造形を生む。