■3. TECの解放機能

 テックビンディングにもセーフティリリース機能はあり、ヒールピースの回転でブーツを解放する仕組みがとられています。その際、過度な力が加わるトウピースからもブーツは外れます。ハイクモードではロック機能を使うことからもわかるように、小さなバネだから簡単な力で外れる仕様になっています。トウピースにも独立したリリース機能を持たせたモデルもありますが、それも含めてアルペンタイプの解放機構に比べるとまだ伸び代のあるシステムのように思えます。

■4. 誤解放ってなに?

 認定技術者によって正しく調整されたビンディングに「誤解放」というものは存在しません。それでも意図しないときにビンディングが外れてしまう原因は、たとえばジャンプの着地や荒踏みの急斜面滑走などで適性値を上回る力が働くとき。そのため、選手やライダークラスのスキーヤーは適正解放値以上に締める人もいますが、その場合のリスクはあくまで自己責任となります。販売店とメーカーの保証外ということを理解しておく必要がありますね。

■5. 解放値の調整は厳禁

 解放値の調整は講習を受けたSBB認定整備技術者のみが可能で、それ以外の人(持ち主でも)が調整した場合、安全上の問題から保証対象外になってしまいます。さらに11以上の解放値に設定する場合も自己責任。各製品の適応体重内であれば解放値は10までに収まる設計になっています。

どのメーカーも解放値10から上は表示を変えている

■6. ブーツとの互換性をしっかり確認しよう

 ソールがフラットなアルペンブーツと、ソールがアールしているツアーブーツでは、コバの高さが違うために同じビンディングを使うことは出来ません。またツアーブーツのラバーブロックソールは歩きやすいが、アルペンビンディングのセーフティリリースが正しく機能しません。そこで生まれたのがISO(国際標準化機構)による国際規格。規格を統一することで異なるメーカーやモデル間の互換性を図り、安全に機能させることが目的です。現在、ビンディングにもブーツには2種類のISO規格があり、それぞれの互換性をまとめたのが以下の対応表になります。

ブーツと互換性のあるビンディングを選ぼう

※「SOLE ID(マーカー)」や「MNC(サロモン/ATOMIC)」は、トウピースのグライディングAFDの高さを調整することにより、さまざまな規格ブーツに対応する互換システム

監修=三浦龍介(MDVスポーツジャパン)、高橋知也(ディナフィット)

 

【BRAVOSKI 2022 Winter Vol.1 より再編集】