■時間と体力に余裕があるなら「丹沢山」のピストンが◎

日本百名山の丹沢山。丹沢最高峰の蛭ヶ岳はさらに奥に聳える

 晴れた日なら、塔ノ岳のピストンだけでも十分に満足できる。もう少し歩きたいという場合は、ここから丹沢山まで足をのばすコースが本当に気持ちよく歩ける。この区間は多少のアップダウンはあるものの、ほぼ遮るもののない天空の回廊。ゆえにずっと寄り添ってくれる富士山を絶えず眺めることができる幸せの道なのだ。

ちょっと遠いけれど、これが食べたくて登っちゃうんですよね

 丹沢山の頂には、食事の美味しさで知られる「みやま山荘」がある。ぼくはここのカレーライスが大好きで、これを目当てに昼前に到着するようにコース計画を立てるほど。ただし、数量には限りがある。

 ハイカーにはおなじみの「山と高原地図」によれば、登山口となる大倉を起点に塔ノ岳を往復(ピストン)するコースタイムは6時間強。ここには休憩時間やペース調整は考慮されていないので、もう少し時間の余裕はみた方がいいだろう。さらに丹沢山も計画に加えるとなると、塔ノ岳からの往復で3時間ほど必要となる。あくまで地図上のことだけれど、ざっと合計9時間以上のややハードな山行。特に積雪や凍結に備える必要がある冬場は、山を歩き慣れた中級者向けのコースとなる。

 とくに日の短くなる冬場は、登山経験を積んだ中上級者向けルートとなることを覚えておきたい。段取り八分というけれど、登山もまた然り。しっかり調べて、じっくり計画を立てて、衣類や道具の準備をしてからチャレンジしたい。よし、行ってみよう!  と思った時から、登山は始まってるのだから。

 次回の後編は、伊豆半島と富士山周辺の山から1座ずつ選んでみようと思う。