■“もしも”の備えは日頃から

 「キャンプに行こう」と決まれば、場所選びから道具の準備、荷物の積み込みや食材の買い出しなど、現地に着くまで、なかなか落ち着かないですよね。そんな時、後回しになりがちなのが“もしも”の準備。

 もしも何かあったら、近くのコンビニかドラッグストアに行けば一安心、病院に行けば大丈夫…、なんて軽く考えていませんか? 街であれば、身近な場所にあるかもしれませんが、自然豊かなキャンプ場ほど、都市部から離れた場所、山間部にあるため、それらの施設を容易に見つけることは難しいでしょう。アウトドアは不便を楽しむレジャー。楽しみながら、同時に不便であることを理解し、自分自身で対応できるよう備えることが大切。

 家族みんなが笑顔でいられるよう、キャンプはもちろん、災害への備えとして、日頃から子どもと一緒に“もしも”に備えましょう! こどもキャンプのプロから、今後のキャンプで実践してほしいこと、お伝えします。

●いつも持ち歩ける簡単携行セット

 “もしも”に備える第一歩として、日頃から持ち歩けるファーストエイドの簡単携行セットの準備から始めてみましょう。

※ファーストエイドとは:ケガや疾病に対する最初の処置行動(応急処置)

 子どもであればランドセルや習い事のバッグ、大人であれば持ち歩くカバンやポーチに、そっと忍ばせられる軽量でコンパクトなセットを作るのがオススメです。大切なのは、いつでも不意なトラブルに対応できるよう携行すること。同時に自分自身で処置できるよう、ファーストエイドを学ぶことも重要です。

 参考例ですが、簡単携行セットの中身について紹介します。サイズ別の絆創膏、滅菌ガーゼ、粘着包帯もしくはテーピング、防水パッド、ハサミ、消毒液、除菌ティッシュ、除菌スプレー、綿棒など。大人のセットには普段服用している、鎮痛薬や胃腸薬があってもよいかと思います。このセットを水や汚れ、ホコリが入らないよう、チャック付きの袋(フリーザーバックなど)に収納して、日頃から当たり前にファーストエイドセットを携行する習慣をつくります。

必要なものは100円ショップやドラッグストアで手軽に揃います。 
日頃から“もしも”に備えることで、意識が高まり、怪我や感染症の予防にも繋がるはず。

●マイファーストエイドキットをつくろう

 先ほどご紹介した簡単な携行セットよりも、大きなケガや疾病に対応できるよう、装備をさらに充実させた内容のセットを作ります。あくまでも野外に持ち出すことを考えて、軽量、コンパクトなものとし、防災用、そしてキャンプやお出かけ用として備えましょう。

 中身は、簡単携行セットの内容に加え、例えば、骨や筋肉、腱の怪我を想定し、湿布やアイシング用の氷嚢、瞬間冷却剤、三角巾など。ちなみに湿布は消炎鎮痛剤が含まれるもの(主に冷湿布)がおススメです。

 その他に、止血や患部の乾燥防止用にワセリン、絆創膏では保護しきれない大きな傷に備える創傷パッド、傷口の保護に防水シート、虫刺され用の軟膏、吸引器、体温計、毛抜き、使い捨て手袋、冷却シート、処置後のガーゼや手袋などを捨てる際にそれらを入れるビニール袋など。

 また、500㎜ペットボトル1本でよいので、傷口洗浄用の水も用意しておくと安心です。服用薬や塗り薬については、普段使用しているものを中心に、アレルギー等の体質も踏まえ注意して用意してください。

バッグに入りきれない場合は、持ち出す際の目的地や内容によって臨機応変に必要なものを選びましょう。

 大切なポイントは、家族キャンプであれば、主役である子どもたちに起こりうる怪我や疾病について、キャンプ場のロケーションも踏まえ事前に想定し準備することです。例えば、思いっきり走り回れる開放的なキャンプ場であれば、転倒による切り傷や擦り傷、また捻挫や骨折など、勿論、どんな場所でも発熱や腹痛の可能性も心配されますよね。

 マイファーストエイドキットは簡易的なものでなく、A5サイズくらいの大きさで持ち運びやすいバッグに収納するのがよいでしょう。専用のバッグもキットを含め様々な種類が販売されています。どんな時でも探せるよう、赤やオレンジなど、目立つカラーのバッグがおススメです。

出来ればバッグ自体が防水のもので、もしくはチャック付きの袋に小分けにして収納し、水や汚れ、ホコリから中身を守りましょう。