ハードな山行を好む人には向いていないけれど、それでも、目的や視点次第でレベルを問わず満足度を得られる懐の深さが八島ヶ原湿原の魅力。高層湿原ならではの爽やかな風景を見れば、誰だって気持ちが満たされるというものだろう。
■ほどなく訪れる秋、八島ヶ原湿原は黄金色に染まる
あっという間に過ぎゆく夏山シーズン。気がつけば秋はすぐそこだ。ああ、今年も夏山に行けなかったなあという人は、秋本番の八島ヶ原湿原もおすすめなので、世の中が落ち着くことを願いつつ、機を待つのも一案だ。
あんなに鮮やかだった緑の湿原はすっかり枯れてしまい、冷たい風に揺らぐススキの穂先がなにやら寂し気だけれど、ひとたび太陽に照らされると、湿原はあたり一面が黄金色に輝く。真っ青な秋空は天まで高く、その空を映す池塘はますます青い。
まだまだ暑さの残る日が続くが、夏の名残とひと足早い秋をいっぺんに味わうことができるのだから、それも悪くはないだろう。季節の変わり目は、ある意味で贅沢なタイミングだといえるのだ。