■楽しんで歩きながら、知る、伝わる、考える

震災遺構として保存・公開されている荒浜小学校(宮城県仙台市) もトレイルルート上にあります

 忘れてはならない、このトレイルのもうひとつの特徴は、言うまでもなく「東日本大震災の記憶」です。

 ルート上の至るところに震災の被害の爪痕が残り、震災遺構や伝承施設も点在しています。更地となった海岸沿いの見上げる高さの防潮堤や、復興街づくりの工事が続く場所がまだまだあります。そこにあるのは、震災をめぐる"過去"、"未来"、そして"いま"です。

 ネットやメディアを通じてではなく、実際に見聞きし、触れ、感じることが、みちのく潮風トレイルを歩く体験を、出会った人たちの笑顔を、より深く心に刻んでくれるでしょう。

■トレイルセンターは情報収集の強い味方!

情報発信の拠点、みちのく潮風トレイル 名取トレイルセンター(宮城県名取市)

 ここまで読んで、興味が湧いてきた方、まずは事前の情報収集とプランニングが肝心です。

 このトレイル特有の現象として、復興工事によるルートの変更や迂回が必要だったり、島を歩くコースでは渡船の予約が必要な場合もあります。また、公共交通機関によるアクセスが不便なエリアもありますので、レンタカーの活用を検討すれば旅の幅もぐっと広がります。もちろん、立ち寄りたいお店の事前チェックもお忘れなく!

 みちのく潮風トレイルの管理運営を行うNPO法人・みちのくトレイルクラブのウェブサイトの確認はもちろんのこと、宮城県名取市に2年前にオープンした「みちのく潮風トレイル 名取トレイルセンター」も活用しましょう。この施設、トレイルや周辺情報の提供だけでなく、国内外のロングトレイルに関するたくさんの書籍が自由に読めたり、シャワールームやコインランドリーもあり、オリジナルグッズの販売もおこなっています。

 残念ながら現在は新型コロナ感染拡大防止のために臨時休館中(5月5日まで/4月23日現在)ですが、電話やメールでの問い合わせにはスタッフが対応してくれるそう。

 センターの周辺には日帰り入浴施設や商業施設もあるので、再開後にはぜひ訪れてほしい場所です。

トレイルの全ルートを網羅した「ハイキングマップブック」(10分冊)がトレイルセンターオンラインショップ他で販売中(トレイルマップの配布は3月末で終了)

■1,000kmの道も、一歩から!

トレイルの南の起点・福島県相馬市の松川浦環境公園

 全長1,000kmという長さについつい躊躇してしまいそうですが、健脚なハイカーは日数をかけてスルーハイク(全線踏破)を目指すも良し、気になる観光地やお店を中心にしてセクションハイク(一部の区間歩き)を楽しむのも良し。ひとつの区間を、季節を変えて何度も訪れるリピーター的な味わい方もオススメです。

歩いていて、緑と白の道標を見つけるとホッとします

 長旅の計画が立てづらくなった昨今ですが、少しでも気になるキーワードを見つけたら、まずはセクションハイクで訪れる計画を立ててみませんか。

休暇村 気仙沼大島キャンプ場(宮城県気仙沼市)

みちのくトレイルクラブ(みちのく潮風トレイル情報) https://m-tc.org
みちのく潮風トレイル 名取トレイルセンター https://www.mct-natori-tc.jp