多雪地や雪国では、しばしば春植物の大群落を見ることができます。そのひとつ角田山を紹介します。

 今回はオオミスミソウをはじめとした春の希少植物をいくつか紹介します。自然公園法に基づき自生地を見守って欲しいため、開花時期をずらしての紹介になることをお許しください。

■春の花々が彩る角田山へ !

角田山の三角点と山頂標識

 角田山(かくだやま)標高482mは、新潟県新潟市西蒲区(にしかんく)にあり、佐渡弥彦米山国定公園、弥彦山脈が日本海に接する北限に位置する山です。角田山では新潟県内に自生する草木のほとんどを観察することができ、毎年3月から4月にかけて雪割草とも呼ばれるオオミスミソウやカタクリなどの春の花が次々と山を彩ることで有名です。

山頂には三角屋根のかわいい山小屋があります。水場やトイレは小屋にありません。小屋の使用後は感謝を込めて清掃して帰りましょう

 角田山には7つの登山道があり、その中でも、なだらかで登りやすく、植物の種類も多く観察でき、2時間ほどで登頂できる「五ケ峠コース」が初心者やファミリー登山にもおすすめです。他にも駐車場やトイレも整備されている「浦浜コース」や、海岸の灯台から岩場に沿って登る少し難易度の高い「灯台コース」などを選ぶことができます。

登山道からうっすらと佐渡島が見えます

 希少植物が多い山なので、トレッキングポールの先にはゴムキャップを装着するなど、登山マナーには気をつけてください。トイレは登山口以外にはありませんので携帯トイレの準備を。また、冬期通行止めや春期交通規制もあるので注意してください。

白いオオミスミソウ
ピンクの花が可愛らしいオオミスミソウ

 オオミスミソウ別名「雪割草」は、早いものでは3月頃に雪を割るように花開き、白い雪の世界に彩りをもたらします。3つに裂けた葉の角が尖っていることに名前は由来。花色が白色〜ピンク色〜淡紫色で、花びらも八重咲きなどもありバリエーション豊富な植物です。同種ミスミソウより大きく、本州の日本海側の山地に自生します。種子から開花まで5年以上要するので優しい目で観察してください。

マルバマンサク。「まず咲く」の意味。豊年満作。十文字に花びらが開き薄黄色の花を咲かせる。この種は積雪に強く枝が折れにくいです
キクサギイチゲは豪雪地で多く見ることができ、白から薄紫色の花色の幅があります。花がキクに似ていて花を一輪咲かせます
コシノコバイモは球根の外側が貝のように2つに割れ、真ん中から新しい球根が出ることに由来します
オクチョウジザクラは、5弁の花びらが下向きに水平に開き、筒状の部分が長いのが特徴です。樹高が低く多雪地域に適応して冬季は雪の下に埋もれるものが多い
コシノカンアオイはハート型の葉の形をしていて地面スレスレに咲く土色と同化して地味な花色。新潟など日本海側に分布。絶滅危惧種のギフチョウが産卵、食葉とする植物でもある。アリが種子散布を担います