■流木で焚き火!
直火はだめだけれど焚き火台ならOK! 無くなってしまったら終了とのこと。気さくなスタッフの方が、せっせと運んでくれた。娘がノコギリで流木を切っている間、息子は袋に松ぼっくりを嬉しそう集めている。着火剤がわりに使うのだ。少し前まで雪上にいたのが不思議な感じがする。
「雪山で冷えた体にじんわりと……」
乾いた薪は容易に火が付き、松ぼっくりが不思議な炎の色を演出している。夕食は残念ながら簡素なものになってしまったが、焚き火はメニューをグレードアップする効果があったようだ。お腹いっぱいになった子どもたちは、揺らめく炎にあわせて原始の本能をくすぐるような動きで踊り始めた。どうやら今日の焚火は人を原始に戻してしまうらしい。一緒に踊りながら、ときおり舞い上がる火の粉を見上げた。頭上にはきれいな星空が広がっていた。
消灯時間になる21時には海風が少し強くなってきたので、子どもたちは車中で寝ることにした。僕はテントを独り占め。夜中にはますます風が強くなってきたのか、ペグを打ち直す音があちこちで聞こえた。どこでも寝れてしまう僕は風と波の音を聴きながら、快適空間で眠りについていったのだった。
■波の音を聴きながら、淹れたてのコーヒー、低音で流れてくるバラード曲……
こんなキャンプをいつも夢見ている。今回は天気に恵まれ準備も万端だった。どこの施設も優しい気配りが嬉しかった。山も海も季節を変えてまた来たいと思える場所だった。真冬にパウダーのツリーラン、夏には柱状節理の磯場でのシュノーケリング、と興味は尽きない。
けれど山と海の近さを感じられる地域では、この冬のように大きな雪害を受けることもある。日本海側では冬にそんな厳しさに出会うことがあるけれど、それもまた大きな恩恵があることも知っている。厳しい気候がまた魅力的なフィールドを作っていくのかな、とも思う。この地がそうさせるのか。恐竜のいた時代、悠久の時の流れに想いを馳せて、そんなことを考えてみた。
でもそんな考えは、元気いっぱいに起 きてきた 11歳の娘と7歳の息子の朝ご飯の要求によってかき消されてしまった……。朝ご飯を食べながら今日の予定を話し合っていく。
まぁ、今は悠久の時より目の前の10数年ですよね!