アウトドアショップのバーナー売り場に足を運ぶと気がつくことがある。
バーナーのメーカーの数だけ、燃料となるガス缶も各社のものが置かれているのだ。しかし、ジョイント部分の形は一緒に見えるし、実際にメーカーの違うバーナーとガス缶を繋いでみると火をつけることはできる。
ガス燃料なんてどのメーカーのものも同じじゃない? 1種類あれば十分じゃない? と思うのだが、どうやらそういうわけにもいかないらしい。その理由を探ってみよう。
■中身は3種類のガス。配合比が各社で異なる
どのメーカーのガス燃料も、じつは中身は3種類の同じガスで構成されている。ノルマルブタン、イソブタン、プロパンの3つで、後者から順に気化する沸点が低い=火力が強く、寒い環境の中でも使用することができる。
当然、プロパンの比率が高いほど、火力が強く、寒い場所でも使えて便利なのだが、プロパンは燃料缶の内圧が上がりやすい。台所の外に設置されているようなプロパンガスを思い浮かべてみていただきたい。携行用のガスは缶自体をあそこまで分厚くすることができないため、内圧の高いプロパンガスは詰められる率に限界があるのだ。
そのため、各社が独自の考えに基づき配合比に工夫を凝らしているため、メーカーごとに燃料缶の中身が異なるってわけ。
■バーナーの実力を引き出すためには必須
では、実際に使い比べてみたときに、どのような違いが出るのか。
各社の配合比は、自社のバーナーが最大限のパワーを発揮するための比率に調整されている。他社の燃料に繋いでも火をつけることもできなくはないが、組み合わせによっては効率がガクンと落ちてしまい、性能を発揮できなくなるものも少なくない。
例えば、カタログのスペック上では高火力が売りのバーナーでも、相性の悪いガス缶を使うと自慢の火力が発揮されない。つまりバーナーのベストパフォーマンスを引き出すためには、同じメーカーのガス缶が必要不可欠なのだ。
■揃えないデメリットを覚えておこう
ガスが早く出過ぎてしまったり、微妙にネジ山が合わず取り付けすらできない組み合わせもある。また、メーカーの安全テストは、器具とガス缶のブランドを揃えて行うため、各ブランドは他社のものを組み合わせたときの安全性は担保していない。非常に危険だ。
ちなみに、中途半端に余ったガスを別のガス缶に再充填するためのアダプターを目にしたことがある方も少なくないだろう。一見便利なギアだが、配合比の違うガスを混ぜて使うことは非常に危険。
少々ケチったせいで、大きな事故に遭うのは避けたい。