長く厳しかった冬もいよいよ終わり、信州にもようやく春が訪れようとしている。長野県山ノ内町、スキーリゾートとして有名な志賀高原の麓に、国内だけでなく世界的にも有名なスポットがある。それが「地獄谷野猿公苑」だ。

■雪景色の露天風呂。そこは入浴を楽しむ猿たちで溢れかえっていた

地獄谷野猿公苑入り口

 長野県山ノ内町の山あい。静まりかえった森の中、 ときおり枝に積もった雪がサラサラと落ちてくる。 冷えた森の空気を吸い込みながら、雪道を歩くこと40分ほど。ゲートがある建物で入場料(一般800円)を払い、敷地へ足を踏み入れた。

 横湯川にかかる橋を渡ると、雪景色の露天風呂を中心に猿たちで大賑わいだった。湯けむりの中、気持ち良さそうな表情で湯に浸かる猿たちの姿は、一瞬人間が湯に浸かっているのかと思ってしまうほど、リラックスして思い思いに温泉を楽しんでいる。

入浴しながら毛づくろいするニホンザル

 夫婦? カップル? 僕には見た目で雌雄の判断がつかないが、仲良く毛づくろいしていて幸せそう。その背中には、赤ちゃん猿がピタッとくっついているのがほほえましい。チビッコ猿は、友達? 兄弟? と遊びに夢中で追いかけっこしたり、たまにケンカみたいなことをしている。

 老若男女? 仲良く温泉を楽しむ混浴。古き良き時代の温泉情緒に触れたような気がして、なんだかほっこりする。

■「スノーモンキー」として世界的にも有名  

湯船のニホンザルを観察、撮影する観光客

 一方、僕ら人間もかなりの人数で、湯船の周りに夢中でかぶりついている。スマホ片手に自撮りする若い女性や、望遠レンズを付けた一眼カメラを三脚にセットして、猿を狙う本気スタイルのカメラマン。皆さん猿たちの行動にすっかり虜になっているようだ。

 猿と雪景色の組み合わせは世界的に見ても非常に珍しく、「スノーモンキーパーク」は広く海外に知れ渡っている。 そのため特に外国人観光客に人気で、コロナ禍以前は日本人より外国人の方が多かった印象がある。