日本屈指の人気ゲレンデ「苗場」は、その昔、「苗場国際」という名称だった。このようにスキー場名が変更になるのは珍しいことではない。そこにはどんな事情があるのだろうか? 実際の例を挙げつつ、改称の背景を探ってみたい。
スキー場の改称は主に5つのパターンに分類される。1.運営会社の変更、2.イメージのポップ化、3.スキー限定イメージの払拭、4.広域的なブランディング、5.フリーライド&パウダー路線の特化──以上である。それぞれについて、詳しく触れていこう。
●1.運営会社の変更
たとえば、「サンメドウズ清里」はもともと「キッツメドウズ大泉・清里」という名称だった。「メドウズ」は「牧草地」といった意味。では、「キッツ」とは? これは当時の親会社の社名なのだ。となると、それが変われば改称となるのは当然だ。
「びわ湖バレイ」はもともと産経新聞系だったので「サンケイバレイ」という名称だった。 「神立高原(現在は神立スノーリゾート)」と「芸北国際」のように、運営会社の再三の変更で、一度変えて、もとに戻したケースも。
「舞子スノーリゾート」も一時期、「セントレジャー舞子スノーリゾート」という名称だった時期があるが、これも運営会社の変遷によるものだ。
●2.イメージのポップ化
スキー場名がいささか昭和的なので、カタカナを入れるなどして、ポップなものにすることがある。「大日岳国際」→「ダイナランド」、「富士天神山」→「ふじてんスノーリゾート」のようなパターンだ。
●3.スキー限定イメージの払拭
「水上奥利根」から、「奥利根スノーパーク」のように、「スキー場」を名乗らず「スノー◎◎」が用いられることが増えた。「白馬岩岳」→「白馬岩岳スノーフィールド」もこのパターンだろう。
●4.広域的なブランディング
例が少ないが、白馬エリアのスキー場は、すべて正式名称に「HAKUBA VALLEY」を付けることで、主にインバウンド向けにエリア全体のブランディングをしている。
また一時、北信地区の4スキー場が、「Mt.KOSHA」を冠していたが、今は「よませ温泉」と「X-JAM高井富士」の2つになってしまった。
●5.フリーライド&バックカントリー路線の特化
パークやパウダーの特化で、そのイメージによる改称もある。前述の「X-JAM高井富士」の前名は「北志賀高井富士」だった。「山田牧場」→「YAMABOKUワイルドスノーパーク」もそれの大胆な例といえる。
──といった具合だ。また、新パターンとして「HAKUBA VAKKEY白馬五竜」→「HAKUBA VALLEYエイブル白馬五竜」のようにネーミングライツ的な改称がある。今後はこれが増えるか?