■霧のベールに包まれて…… 稜線直下の草原で幻想的なシーンが待っていた!

ゆるやかな斜面は草原となっていて木道が延びています

 前岳から先、ゆるやかな斜面は草原となっていて、そのなかを木道が敷かれています。牧歌的なその様子は、まさに山名の“浅い草”です。

秋色になってきた湿原に咲くリンドウがアクセントになっていました

 湿原、池塘の傍にぽつぽつとリンドウが咲いています。晴れてきたと思ったら、今度は霧のなか。目まぐるしく変わる景色。木道を踏み外さないように進みながらも、ベールに包まれて朧げに移ろう幻想的な景色に目を奪われます。

広がった雲海。ガスの隙間から覗く田子倉湖を見下ろします

 すぐに山頂に到着しました。福島側は雲海となっており、少し経つと雲の隙間から田子倉湖がわずかに見え始めました。祠があるこぢんまりとした浅草岳の頂上。早めのお昼をほおばりつつ、しばらく視界がクリアになるのを待ってみました。ですが期待どおりにはいかず、むしろ厚い雲に閉ざされていきました。稜線上に連なる「鬼が面山(おにがつらやま)」の絶壁も眺めたかったのですが、またの機会に……。

幻想的な霧のベールは登ってきたときより濃くなっていました
浅草の鐘。熊よけ代わりに鳴らすと、びっくりするくらいよく響きました

 下山は前岳から西へ延びる尾根上を辿って降りていきます。見た目も名前も特徴的な小ピーク「カヘヨノボッチ」を通り、美しいブナの森に癒されながら「浅草の鐘」へ。鐘の音は見た目以上に大きく美しく山中にこだましました。そのすぐ下が桜ゾネ登山口です。

 ここから歩き出したネズモチ平登山口、駐車場まで北西斜面を大きくトラバースする道は(荒れているけれど)舗装路です。夏の終わりらしくサラシナショウマやミヤマトリカブトの花が咲いており、蝶やハチたちが忙しそうに蜜を吸っていました。林道の洗い越しを通るたびに靴を洗う程度の水が流れています。ずいぶんと蒸してきました。稜線に上がるときに羽織った長袖を脱ぎました。蝉たちが最後の力を振り絞るように合唱しています。季節の移ろいを感じる、穏やかな山歩きでした。

サラシナショウマの花にやってきていたアサギマダラ