■虫と植物の攻防戦
植物は、草食性の生物から常に食べられる危険に晒されている。植物は動物と異なり、自ら動くことができないわけだが、ただ黙ってやられているわけではない。じつは、目に見えないところでさまざまな抵抗をしている。
たとえば、カラスウリの場合、「ククルビタシン」という毒を持っている。この毒を口にすると、強烈な苦味がある。また、多量に摂取すると腹痛や下痢などの症状を引き起こす成分だ。カラスウリはこの毒を、動物から食べられないようにするための防御策として使っている。自分が食べられていることを検知すると、ククルビタシンをその箇所に移動させ、食事を妨害するのだ。
しかし、クロウリハムシはこの妨害を突破する方法を編み出した。それが「トレンチ行動」だ。先に食べる部分の周りを傷つけて溝を作り、毒を溝の内側に移動できないようにし、その上で内側を食べるのである。
カラスウリの葉の不思議な模様の背景には、このように”虫と植物との激しい攻防戦”が隠されていたのだ。
今回紹介したカラスウリとクロウリハムシの関係以外にも、さまざまな虫と植物の戦いが存在している。
僕たちが何気なく見ている光景には、じつはさまざまないきもの同士の関係性やドラマが隠されていることが少なくないのだ。ミクロの世界に目を向けてみると、このような世界が覗けるとことも魅力の一つである。
散歩などをしていて気になるものを見つけたら、ぜひ近寄って、なぜその光景が生まれているのかを観察してみてほしい。