植物の葉の上にある、何の変哲もない落ち葉。ところがこの落ち葉、夏に見たのであれば「生き物」である可能性が出てくる。実際こちらの写真も、その正体は「ムラサキシャチホコ」というガなのだ。
というわけで、巧みな擬態をしているこの虫について、早速解説をしていこう。
◼️トリックアートのような擬態をするムラサキシャチホコ
ムラサキシャチホコは「チョウ目シャチホコガ科」というグループに属する昆虫だ。年に2回発生し、初夏と真夏に現れる。
虫には擬態をするものが多くいるが、ムラサキシャチホコは特に巧みな擬態を持つ。その体を見ると丸まった落ち葉のようにしか見えない。

たいていの擬態している虫は目の前まで近づけば気がつけるものだが、ムラサキシャチホコの場合はかなり近づいてもその擬態に気がつけない。近くで見ても立体的に見えるほど、繊細に作られたものだからだ。

しかし、上から見てみると、ようやく落ち葉のように見える姿は「目の錯覚」によるものだったことが分かるのだ。その立体的に見える見事な擬態は、まさに天然のトリックアートだ。

ムラサキシャチホコの幼虫はクルミ科の植物の葉を食べる。川沿いでよく見られる「オニグルミ」という樹木の上で幼虫の姿を見ることが多い。幼虫は緑と黒のボディを持ち、頭部は真っ黒だ。

オニグルミのある場所でこのような幼虫の姿や、気になる落ち葉を見つけたら、その正体はムラサキシャチホコかもしれないので、ぜひ確認してみてほしい。