皇居を一周するマラソンコースというのは、いまやもう定番のようになっていて、スタートゴールの地点、周回の方向も決まっています。それによると、桜田門をスタートし、祝田橋交差点を左折。皇居外苑の大きな通りを北上、竹橋から、代官町の方へ入り、イギリス大使館を右手に見ながら南下、半蔵門を越えて左手のお堀に沿ってさらに南下して桜田門に戻る、一周5kmのルートなのだそうです。
さて、この皇居の周りをランニングで走る人は、本当にたくさんいます。しかし、皇居すべてを内包する「千代田区」を一周する人はあまりいません。
千代田区は区境に沿って一周することはできないのでしょうか? 千代田区の区境をぐるっと眺めてみると、道路や外堀など歩けない場所を通っているところも多いのですが、区境とそんなに離れずに境界に沿って歩ける道が必ずあるため、一周しようと思えばできそうです。
■千代田区一周のスタート地点は小さな路地
できそう! となったら、やらずにはいられないわけで、さっそく、歩いてみたいと思います!
せっかく一周するのだから、GPSの記録もとりたい。というわけで、今回はGarminのスマートウォッチ「Fenix 8」を使って、GPSログと心拍数を測りながら一周してみることにします。
「Fenix 8」は、1回の充電で20日ぐらいは持つという脅威のバッテリー持続時間。10気圧防水などを備えるかなりタフなスマートウォッチで、山登りはもちろん、ダイビングなどのマリンスポーツ、ランニング、フィットネスと、あらゆるシーンで使えるものとなっています。とはいえ、今回はそんな高性能な機能はほぼ使わないのですが、ウォーキングの設定で使ってみたいと思います。ボタン操作に若干のクセがあるため戸惑いましたが、無事ウォーキングの記録を開始できました。
さて、スタート地点はどこでもいいのですが、とりあえず神田駅近くの小さな路地からスタートすることにします。
神田駅から南にまっすぐ延びる日銀通りという通りがあります。神田駅と日本銀行までつながっている道ですが、その途中、日銀通りと直交する小さい通りがあります。名前もないほどの小さい道ですが、通りの左手が千代田区鍛冶町、右手が中央区日本橋室町となっています。
めちゃくちゃ小さい路地が区境となっているのです。この区境をずんずん東に向かって進みます。
先ほど起動したFenix 8はちゃんと動いているのか確認します。どうやらちゃんと動いているようです。
区境に沿ってしばらく歩くと、「竜閑川(りゅうかんがわ)埋立記念」と書かれたでかい高札風の掲示があります。竜閑川は今歩いている路地のある場所にかつて流れていた川です。昭和初期頃の地図を見てみると、確かに川になっています。
江戸時代に掘られた水路で、近くに井上龍閑という人の屋敷があったからこの名前がついたのだそう。江戸時代からここが神田と日本橋の境目だったようで、その境界が、現在の区境ともなっているわけです。
なお、井上龍閑という人物については、幕府の茶坊主で、このあたりの町家の開発を行った……ということ以外は、あまり伝わっている情報がありません。
竜閑川は、戦後に瓦礫の処分場として使われ、1950年には埋立が完成し道となり、川は消滅しました。