■プリンスルートへの分岐を見逃さないように

 わらじ館からさらに少し下ると、プリンスルートへの分岐があります。ここがかなりわかりづらく、間違えやすいポイント。分岐に気づかずそのまま御殿場ルートを下ってしまわないよう、注意しましょう。とりあえず、宝永山を目指せば、間違いなくプリンスルートに入れます。

 頂上からまっすぐ富士宮五合目を目指すと、コースタイムは約3時間。プリンスルート経由だと約4時間です。富士宮ルートは富士山に最短距離で登れるため混雑しやすく、下山時に渋滞することもあります。少し遠回りでも、プリンスルートを使うことで下山渋滞を避けられることもあります。

宝永山へと続くトラバースのプリンスルート。奥には宝永山山頂

 さて、分岐から先、足元は一面の火山灰になります。滑りやすいので注意は必要ですが、火山灰だけの世界を歩く体験は他ではなかなか味わえません。

 このルートの面白いのは、富士山の斜面を横切るように歩いていくところ。富士山の登山道は基本的に山頂へ向かって延びていますが、このルートだけは違います。景色が少しずつ変わっていくのが楽しくて、つい足が進みます。

 やがて正面に見えてくるのが宝永山です。宝永山は富士山の噴火によって生まれた側火山。静岡県側から富士山を見ると、肩のあたりが少し盛り上がって見えますが、それが宝永山です。

 道中で振り返ってみると、思わず足が止まりました。遠くから見れば美しい円すい形の富士山。しかし、ここから見えるのは、荒々しく力強い火山としての姿でした。植物がなく、少し寂しくもありますが、まるで火星のようです。

宝永山から富士宮ルート方面に少し降りて振り返ると見える、富士山の姿

 「ああ、富士山ってこんな山だったんだ。」

 私がこのルートを好きな理由は、まさにこの景色にあります。

 しばらく眺めたあとは、富士宮ルートへ合流し、五合目へ下山。これで今回の周回ルートは終了です。途中でYouTubeの視聴者の方や山小屋のスタッフの方とお話ししながら歩いたこともあり、この日は約9時間半の山旅になりました。

■体力に自信があるなら日帰りでも歩けるけど、1泊するのもおすすめ

 今回は日帰りで歩きましたが、富士山が初めての方や体力に自身がない方には山小屋泊もおすすめです。

 私自身、以前同じルートを歩いてわらじ館へ宿泊したことがあります。山小屋からは、素晴らしいご来光を望むことができます。もちろん、山頂からのご来光は別格ですが、ゆっくり混雑を避けて楽しみたい方にはこちらもおすすめです。

わらじ館からのご来校。光っているのは山梨県の山中湖

 富士山は、「混雑している」「景色が単調」というイメージを持たれがちです。しかし、このルートを歩けば、きっと印象が変わるはずです。

 火口、宝永山、火山灰の斜面、そしてプリンスルートから眺める圧倒的な景色。そこには、多くの人が思い描く富士山とは違う、活火山としての富士山があります。

 富士宮口から富士山に登れるのは、9月10日まで。天候や体力には十分注意しながら、ぜひ歩いてみてください。天気に恵まれれば、きっと忘れられない一日になるはずです。

 

<ルート情報>

アクセス:

マイカーの場合は、水ヶ塚駐車場からシャトルバスを利用する。始発は5時、土日祝日は4時半から。帰りは18時が終バスなので、下山時間に注意。公共交通機関の場合は、富士宮駅・新富士駅・三島駅からバスを利用する。

途中で宝永山を経由して戻るルート。画像:YAMAP 3Dリプレイより

日帰りの場合:

富士宮五合目 → 富士宮口頂上 → 剣ヶ峰 → 吉田・須走口頂上 → 御殿場口頂上 → わらじ館 → 大砂走り分岐 → 富士宮五合目 (休憩なしで約9時間)

1泊2日の場合:

富士宮五合目 → 富士宮口頂上 → 剣ヶ峰 → 吉田・須走口頂上 → 御殿場口頂上 → わらじ館(1日目、約6時間)

わらじ館 → 大砂走り分岐 → 富士宮五合目(2日目、約3時間)

注意事項:

御殿場ルートの下りは大変滑りやすく、注意が必要。なお、靴は火山灰まみれになるため、そうなっても構わない靴を選ぼう。ゲーターもあった方がいい。

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