夏の日差しが降り注ぐ田園地帯の農業用水路。一見すると、メダカやフナなどの小魚が泳ぐ何気ない水路に見えるが、水面下には大型の肉食魚「ナマズ」が潜んでいることがある。

 7月上旬、筆者は栃木県を流れる利根川水系の支流とつながる農業用水路で、朝の1時間だけナマズ釣りを楽しんだ。水面を泳ぐトップウォーター・ルアーが着水した次の瞬間、「ガボッ」という激しい水音とともに大きな水しぶきが上がり、63cmの立派なナマズが姿を現した。

 夏は高水温の影響でターゲットが少なくなる淡水の釣りだが、ナマズは温かい水を好む性質があるため、朝夕の時間帯や流れ込みといった条件に狙いを絞れば、盛夏の日中でも釣れる魅力的なターゲットである。川や湖、沼や池、支流の水路にも潜む大型魚とのスリリングな駆け引きは、一度体験すると忘れられない。本記事では、身近な水辺で楽しめるナマズのトップウォーターゲームの魅力を、実釣の様子とともに紹介する。

■大型ルアーターゲット!  身近な水路に潜むナマズ

ナマズは小魚やザリガニ、カエルなどを捕食する大型の肉食魚。口の中にはヤスリのような細かい歯がぎっしりと並んでいる

 ナマズといえば、人里離れた自然豊かな川や沼に暮らす魚といったイメージを持つ人もいるだろう。しかし実際には、田園地帯の農業用水路や都市部の住宅地付近を流れる小河川など、人々の暮らしのすぐそばにもいる身近な淡水魚である。時には全長70cmを超える大型魚が、身近な水辺に潜んでいることは、あまり知られていない。

 ナマズは大きな口と長い口ヒゲを持つ肉食魚で、ドジョウやフナ、オイカワなどの小魚のほか、ザリガニやカエルなども捕食する。そのため、水面を泳ぐトップウォーター・ルアーにも果敢に襲い掛かり、激しい水しぶきを起こす豪快なバイトがトップウォーター・ゲーム最大の魅力である。その一方、つぶらな目をしたどこか愛嬌のある顔つきとのギャップも、多くの釣り人を惹きつけている理由だ。

 一般的には5~10月がシーズンで、水温の高い時期に活発にエサを追う習性がある。ただし盛夏の日中は水温が上がり過ぎてしまうため、さすがに物陰や流れ込みなどに身を隠すことが多い。朝夕の比較的涼しい時間帯や酸素が豊富な流れ込み付近、橋脚や護岸の影などを狙えば、真夏でも釣れるチャンスは十分にある。

小さな堰下にできた白泡は酸素量が多く、ナマズがつきやすいポイントのひとつ
橋の下にできた日陰もナマズの一級ポイント
抽水植物が密集して日陰になった場所にも、ナマズが潜んでいることが多い。夏の日中に探りたいポイントのひとつ

 ナマズは夜行性のため昼より夜の方が活性は高い。しかし筆者は、水面を割ってルアーに襲い掛かるエキサイティングな瞬間が見られる昼間のトップウォーター・ゲームに魅力を感じている。なお、釣り場によっては夜釣り禁止のルールもあるので注意が必要。本記事では筆者が魅力を感じている昼間のナマズ釣り(デイゲーム)に絞って紹介する。

■遠くへ釣りに行けなくなってから目を向けるようになった身近なフィールド

ナマズは地方だけでなく、都市部にある身近な水路や小河川にもいる

 筆者は長年、ルアーフィッシングを趣味としてきた。なかでも、水面を泳ぐルアーを使って水面での捕食を誘発するトップウォーター・ゲームは、最も好きな釣りのひとつである。これまでは湖のトラウト(マス)を中心に1日かけて釣りを楽しむことが多かったが、ライフスタイルの変化から、より短時間で釣りができる近場のフィールドに目が向くようになってきた。

 そこで目を向けたのが、以前から興味を持っていたナマズ釣りだった。自宅近くの農業用水路や小河川で釣れることは知っていたため、この機会に挑戦してみることにした。

 いざナマズのトップウォーター・ゲームを始めてみると、水面を豪快に割って姿を現すその迫力と、大型魚ならではの力強い引きが想像以上にエキサイティングだった。気がつけば、休日に少しでも時間が空くと、ナマズ釣りに出掛けたくなるほど夢中になり、今では身近な水辺を巡るのが大きな楽しみになっている。

 身近なフィールドで、限られた時間でも本格的なルアーフィッシングを満喫できる。それこそが、筆者にとってナマズ釣り最大の魅力だと感じている。