真夏の朝だけ楽しめるハスの花。今年は、その美しい風景に特別な意味があります。
東海道・山陽新幹線を走る「ドクターイエロー」が来年1月に引退するため、ハスとの共演が見られる最後の夏になるからです。そんなスペシャルな夏に、新幹線が通る小さなハス池を訪ねました。
■開店前から我先にと押し寄せるミツバチたち
ハスの花は、朝開花して昼には閉じてしまう“時間限定”の花として有名です。そのため、この日は、夜明け前に自宅を出発し、ちょうど日の出の頃に目的地に到着しました。少しずつ空が明るくなってきましたが、まだ誰もやってきません。ハスの花もちょうど目を覚ましたばかりのようで、かたく閉じていたつぼみが、時間の経過とともに少しずつほぐれてきました。
すると、それを待っていたかのように、ミツバチが集まってきました。まだ先端の方しか花が開いていないにもかかわらず、羽音を鳴らしてハスを急かしています。まるで開店前の店頭に並ぶ客のようにそわそわしているミツバチたちの気持ちが、筆者にも伝わってくるようでした。
■強い日差しを浴びて花びら全開に
明け方は雲が多めでしたが、徐々に青空が見えてくると、容赦なく強い光が降ってきます。それがハスにとって一日の始まりを告げる合図なのでしょうか。強い日差しを受けると、花びらはゆっくりと大きく開いていきます。
ハスの花の中心には、おしゃれに飾られた洋菓子がちょこんと座っています。プリン型の花托(かたく)の上に出ている突起が雌しべ、その周りにあるたくさんの糸状のものが雄しべです。周囲には香りに誘われたミツバチやクマバチが次々と訪れ、体中を花粉で真っ黄色に染めています。
気がつけば、つぼみばかりだった池は濃いピンクの花で彩られていました。と同時に、ハスを愛でる人たちも徐々に増えてくるのでした。