■鳴き声によるセミ探し
セミの種類を、鳴き声をヒントに識別する方法を紹介しよう。
まず、多くの地域でもっとも身近なセミ、アブラゼミについて。
暑い昼下がり、「ジリジリジリジリ……」という声が聞こえたら、近くにアブラゼミがいる可能性が高い。ちなみに名前の由来は、鳴き声が「油で料理する時の音に似ているから」と言われている。また、はね全体が不透明であるのは、セミの中では少数派である。
次は特徴的な鳴き声を持つミンミンゼミ。「ミーン、ミンミンミン……」という声を聞くだけで識別できる。
身近なセミのイメージがあるが、じつは山など自然豊かな場所でしか見られない地域もあり、住んでいる地域によって身近度が変化するセミである。
午前中に「シャアシャアシャア……」という声が聞こえたら、きっと声の主はクマゼミだ。通学中・通勤中に鳴き声を耳にすることが多いだろう。
クマゼミは日本最大級のセミ。その大きくて黒い姿が「熊」の名の由来だ。東日本ではアブラゼミの方が主流なイメージがあるが、西日本ではクマゼミはとても身近なセミである。
まだ6月なのにセミの鳴き声が聞こえてきたら、声の主はニイニイゼミかもしれない。
ニイニイゼミは夏のセミのトップバッターで、本格的な夏が始まる前(6月下旬頃)から鳴き声を聞くことができる。鳴き方は「ジィー……!」と長く鳴く。また、日中ずっと鳴いているのも特徴的だ。
サイズは他のセミよりも少し小さい。また、幼虫は泥にまみれているというユニークな特徴がある。抜け殻も泥をまとっているので、成虫の姿よりも抜け殻の方が簡単に識別できる。
夕暮れ時、森の方から「カナカナカナ……」という哀愁のある鳴き声が聞こえてきたら、声の主はヒグラシだ。
ヒグラシは都市部にはあまり多くない印象だが、山地や郊外の針葉樹林にはたくさんいる。夏の夕方、山間部の露天風呂に入っていたりすると、森の方からヒグラシの声が聞こえてくる。そのせいか、僕はヒグラシの声を聞く度に山で過ごした景色が浮かんでくる。ヒグラシは鳴き声だけでなく、生息場所とそうした体験も含めて、風情のあるセミかもしれない。
最後に、ツクツクボウシ。
秋の森でセミの鳴き声が聞こえたら、このセミである可能性が高い。なぜなら、ツクツクボウシの発生開始時期が7月下旬頃と、他のセミよりも少し遅い。その分、終わりも後ろにずれて、10月まで普通に鳴き声を聞くことができるからだ。まあ秋に限らず、「ツクツクホーシ、ツクツクホーシ……」という特徴的な鳴き声により、すぐに主は特定できるわけだが。
なお、ツクツクボウシの鳴き声は前半と後半でリズムが変わるという、おもしろい特徴を持つ。ぜひ、両パート聴き比べてみてほしい。
■夏のセミの鳴き声に注目してみよう!
鳴き声と時間帯を手がかりにすれば、どんなセミがいるのか簡単に知ることができる。通学、通勤、旅行中など、夏はさまざまな場所で鳴き声を耳にするはずなので、ぜひセミの識別を楽しんでみてほしい。
<身近なセミの鳴き声と特徴・早見表>
・クマゼミ 「シャアシャアシャア……」午前中によく鳴く。黒くて大きい
・ヒグラシ 「カナカナカナ……」夕暮れ時の郊外や山間部の針葉樹林
・アブラゼミ 「ジリジリジリ……」昼前後から夕方にかけて鳴く。はね全体が不透明
・ツクツクボウシ 「ツクツクホーシ、ツクツクホーシ……」発生時期が7月下旬~10月までと、他のセミより遅め
・ニイニイゼミ 「ジィー……!」6月下旬から日中ずっと。夏ゼミのトップバッター