●なだらかな稜線を歩く絶景ルート

稜線歩き。顔を上げれば富士山が見られる贅沢な時間

 雷岩から大菩薩峠方面へ続く稜線は、山歩きの魅力が凝縮されたような場所。

 左右に大きく広がる景色、抜けるような青空、心地よい風。天気さえ良ければ、歩いているだけで満足感が高く、登山の楽しさをダイレクトに感じられる。

 道はなだらかで非常に歩きやすく、危険箇所も少ない。ビギナーでも安心して“展望がきく稜線歩きの気持ちよさ”を体験できる区間だ。

 雷岩から20分ほどにある賽の河原(さいのかわら)避難小屋周辺は開けた空間となっており、休憩にも最適なポイントである。

●絶景を眺めてひと息ついたら下山開始

稜線のゴール地点に佇む「介山荘」。お土産や軽食を購入できる

 稜線を進むと、賽の河原避難小屋から約15分で介山荘に到着する。ここは登山者の重要な休憩ポイントであり、軽食や飲み物の補給ができる。ベンチに座りながら景色を眺める時間は格別で、山行の満足度をさらに高めてくれる。

 これまで歩いてきた稜線を振り返ることで達成感も強く感じられる場所であり、日本百名山に登頂した実感を得やすいポイントである。

 下山は福ちゃん荘方面へと戻るルートを進む。登りで通った道と合流するためルートは明瞭で、道迷いの心配は少ない。福ちゃん荘までの所要時間はおよそ1時間だ。

 樹林帯に入ると、再び静かな山の空気に包まれる。稜線の開放感とは対照的な落ち着いた雰囲気の中で、余韻を感じながら歩く時間となる。

 下りは足への負担がかかりやすいため、無理にスピードを出さず慎重に進むことが重要だ。やがてロッヂ長兵衛へ戻り、周回ルートは終了。無理のない行程でありながら、絶景と達成感をしっかり味わえる山行である。

●下山後のお楽しみ「大菩薩の湯」

 下山後は甲州市塩山(えんざん)にある日帰り温泉、大菩薩の湯に立ち寄りたい。アルカリ性のやわらかな湯は肌あたりが良く、登山で疲れた身体をじっくりと癒してくれる。広々とした露天風呂では、山行の余韻に浸りながらゆったりとした時間を過ごせるのも魅力だ。

 登山口からインターチェンジのある笛吹市や甲州市へと向かう帰路の途中にあるため立ち寄りやすく「登山→温泉」という理想的な流れが一日で完結する。

■身近な大絶景の大菩薩嶺

 大菩薩嶺は、初心者でも無理なく登れる標高2,000m級の山でありながら、圧倒的なスケールの絶景稜線を楽しめる稀有な存在である。

 アクセスの良さ、歩きやすい登山道、そして開放的な稜線。さらに下山後の温泉まで含めて満足度の高い山行が実現できる。

 5月から6月にかけては比較的おだやかな気候で、長袖シャツ1枚など軽装のハイカーも散見される。ただし、遮るもののない稜線上では、冷たい風にさらされることもあるので、防寒具は必ず持っていこう。

 「これから本格的に登山を始めたい人」にも、「気軽に絶景を楽しみたい人」にも、自信を持っておすすめできる一座だ。

 

上日川峠から大菩薩嶺周回コース所要時間
上日川峠(0:00)→ 福ちゃん荘(0:25) → 雷岩 (1:30)→ 大菩薩嶺(1:40) → 雷岩 (1:50)→ 賽ノ河原避難小屋(2:10)→ 介山荘(2:25)→ 福ちゃん荘(3:30)→ 上日川峠(4:00)
歩行距離:約7.2km
累積標高差:登り 554m、下り 554m
合計所要時間:4時間

●【MAP】大菩薩嶺

●【MAP】ロッヂ長兵衛

●【MAP】大菩薩の湯