山梨県甲州市に位置する日本百名山・大菩薩嶺(だいぼさつれい・標高2,057m)は、初心者でも楽しめる山として高い人気を誇る一座である。
大菩薩嶺は大菩薩連嶺(だいぼさつれんれい)の主峰であり、奥秩父と接する山域に位置する。最大の特徴は「標高の高さ」と「登りやすさ」が両立している点だ。
一般的な登山口となる上日川峠(かみひかわとうげ)は標高約1,600mに位置しており、ロッヂ長兵衛(ちょうべえ)付近からスタートすることで標高差を抑えた山行が可能となる。そのため、体力に不安のある人でも無理なく2,000m級の山に挑戦できる。
山頂は木々に囲まれていて展望はないが、大菩薩峠から雷岩にかけての稜線からは富士山、南アルプス、八ヶ岳、奥秩父の山々、さらには甲府盆地まで見渡せる大パノラマが広がる。特に初夏は新緑と涼風が心地よく、開放的な稜線歩きを楽しむには最適なシーズンである。
■上日川峠から大菩薩嶺の周回コース
●上日川峠へのアクセス
登山の起点は上日川峠にあるロッヂ長兵衛周辺となる。
マイカーでアクセスする場合、中央自動車道・勝沼ICから約1時間ほど。山道ではあるが舗装されており走りやすい。上日川峠には第1から第3まで駐車場が設けられており、約130台が駐車可能だが、登山シーズンは早朝から満車になることも多く、早めの到着が望ましい。
一方、公共交通機関でアクセスする場合は、JR中央本線・甲斐大和駅から栄和交通の路線バス「上日川峠行き」を利用する。冬季運休に加え、本数が限られているので、事前に時刻確認は必須である。
■日本百名山「大菩薩嶺」の絶景稜線満喫レポート
●樹林帯のやさしい登りで上日川峠を出発
上日川峠の駐車場に車を停めたら、すぐそばにあるロッヂ長兵衛からスタートする。登山口は明瞭で、整備された歩きやすい道が続く。
序盤は緩やかな樹林帯で、傾斜もきつくないので負担は少ない。自分のペースで無理なく歩ける区間である。
かの皇太子さま(現天皇陛下)が大菩薩嶺登山の際に立ち寄った山小屋、福ちゃん荘(ふくちゃんそう)までは穏やかな登りが続き、足元も安定しているため安心感がある。標高を上げている実感はあるものの、急登はほとんどなく、リズムよく進める。
福ちゃん荘を過ぎるとやや登山らしい雰囲気になるが、それでも目立った難所はなく、徐々に標高を稼いでいく。
福ちゃん荘から1時間15分ほどで大菩薩嶺山頂に到着するが、ここは樹林帯となっており展望はない。しかし、この山の魅力はこの先にある。
●雷岩の先へ! 一気に開ける視界と富士山の大展望
山頂から、さきほど通過した雷岩へと戻る。さきほどは山頂に至る通過点だったため気が付かなかったが、雷岩から登ってきた道を振り返ると、それまでの樹林帯とは打って変わり、視界が一気に開ける。目の前には富士山が大きく姿を現すこの場所こそが大菩薩嶺における最高の絶景ポイントである。南アルプスや八ヶ岳、奥秩父の山々も見渡せ、標高2,000m級の山にいる実感を強く感じられる場所だ。