登山をはじめたばかりの人や、今年アルプスデビューした人にとって、冬の便りは無積雪の登山シーズンの終わりと寂しさを感じさせる。
北アルプスをはじめとする高山では11月ともなれば雪に覆われ、一般的な装備で登ることはできなくなる。だが冬装備は整っていないが、まだまだ山に登りたい人におすすめなのが「大菩薩嶺(だいぼさつれい)」だ。
大菩薩嶺は山梨県東部にある標高2,057mの山で、日本百名山に選定されているほか、花の百名山や山梨百名山などにも選定されている。
山名の由来は諸説あるようだが、一説には源義光(みなもとのよしみつ)がこの峠を越えられたことに感謝し、軍神である八幡大菩薩の名を称えたことに因んでいる。今回は11月でも登山が楽しめる大菩薩嶺の登山ルートを紹介する。
■初心者でも楽しめる! 上日川峠からの周回コース
紹介するのは「上日川峠(かみひかわとうげ)」からの周回コース。登山口までのアクセスに使う林道は冬季通行止めとなり、毎年12月中旬から4月中旬までは通れない。つまり、11月は大菩薩嶺まで短い時間で登ることのできるラストチャンスなのだ。
上日川峠から登山道に入ると、広葉樹に囲まれた樹林帯を歩く。起伏も穏やかで歩きやすい。
登山口から30分ほどで「福ちゃん荘」に到着する。福ちゃん荘は通年営業している山小屋で、宿泊や食事ができる。キャンプ指定地にもなっており、テントを張ることも可能だ。
通年営業ではあるが平日は宿泊ができなかったり、予約が必要なので立ち寄る際は事前に確認しておこう。
■唐松尾根分岐・最短で最高峰を目指すか、のんびり行くか
福ちゃん荘は分岐点にもなっており、大菩薩嶺を最短で目指す唐松尾根ルートか、大菩薩峠を経由し、大菩薩嶺を目指すルートかを選べる。周回コースなのでどちらから行ってもいいのだが、個人的には大菩薩峠を経由し、周回するコースをおすすめする。
その理由としては、最短で大菩薩嶺を目指す唐松尾根は傾斜が急で、眺望も少なく、体力を要する。大菩薩峠から周回し、下山で唐松尾根を利用するルートの方が眺望も楽しめ、体力的にもおすすめだ。
大菩薩峠までは長い登りとなるが、車が通れる道幅なので危険な場所もなく、安心して歩ける。単調な道で変化の少ない区間だが木々の間隔は広く、日差しが差し込みやすいので明るい。晩秋の季節は森も静かで落ち着いて歩ける。