九州南部、鹿児島県と宮崎県にまたがる「霧島山」は、日本百名山のひとつであり、日本ではじめて国立公園に指定された連山。韓国岳や高千穂峰など約20の火山群で形成されており、神話の舞台として知られ、火口湖や温泉など自然の恵みが豊富なことが魅力だ。

 そして、春の霧島山といえば、赤紫色やピンク色の花を咲かせる「ミヤマキリシマ」が見頃の季節。九州の火山性高山地域に自生する日本固有種で、5月中旬~6月中旬の開花時期になると、霧島山のあちこちでピンクの絨毯のように咲くミヤマキリシマの群生を見ることができる。

■「韓国岳」は大浪池や山頂付近にビュースポット多数

バスで登山口の目の前までアクセス可能。マイカーは近くの駐車場が利用できる(撮影:BRAVO MOUNTAIN編集部)

 火山群が並ぶ霧島山のなかで、最も高いのが標高1,700mの「韓国岳(からくにだけ)」。鹿児島県と宮崎県に登山口があり、鹿児島県側は霧島市に大浪池登山口がある。この登山口は、日本一高い場所にある火口湖の「大浪池」を経て山頂に向かえることが魅力だろう。登山口から登りつめて大浪池のふちに着くと、コバルトブルーの池越しに韓国岳を望める絶好のロケーション。池沿いに東回りと西回りの遊歩道が整備され、あちこちに咲くミヤマキリシマを愛でながら歩くのが楽しい。

石畳が敷かれた森の中を進みながらまずは大浪池を目指す(撮影:BRAVO MOUNTAIN編集部)
山頂付近はミヤマキリシマの群生が多い。花越しに大浪池が見える

 池の対岸あたりの避難小屋付近から韓国岳に向かう分岐があり、森を登り、山頂に近づくと山一面がミヤマキリシマに包まれた絶景スポットが広がっている。山頂には直径900m、深さ300mの火口があり、岩が転がる木々のない場所なので360度の展望が楽しめる。

 南側の展望は眼下に大浪池、その向こうには錦江湾(きんこうわん)に浮かんだ桜島が見え、天気が良い日は開聞岳まで見えることも。山頂から続く山並みは、隣に新燃岳、その先にはきれいな三角形の高千穂峰(たかちほのみね)が見えて、霧島山の壮大さが実感できる。

蒸気が立ちのぼる新燃岳と、その後ろにそびえる高千穂峰
大展望の韓国岳山頂から錦江湾に浮かぶ桜島を望む

<おすすめルート>
【韓国岳(大浪池登山口ルート)】

大浪池登山口 → 大浪池(西回り)→ 避難小屋 → 韓国岳 → 避難小屋 → 大浪池(東回り)→ 大浪池登山口
(所要時間:約4時間30分)

■えびの高原から登ることもできる

県境登山口は途中で大浪池の西回りコースと合流。分岐の案内を確認して進んでいこう(撮影:BRAVO MOUNTAIN編集部)

 えびの高原(宮崎県えびの市)から韓国岳に登る場合は、「えびのエコミュージアムセンター」付近にある韓国岳登山口と県境登山口の2つ入山口からピークを目指せる。韓国岳が爆裂火口で崩れた岩壁がよく見え、えびのエコミュージアムセンターのすぐそばにある韓国岳登山口から入山すると、噴煙を上げる硫黄岳を横目に山頂まで登っていける。

 また、帰りは大浪池方面に下り、避難小屋のある分岐から県境登山口に戻ることが可能。ついでに大浪池を周遊してもいいし、大浪池登山口まで縦走してもいい。

ノカイドウは限られた場所でしか見られない希少な固有種

 えびの高原の登山口は近くにミヤマキリシマの群生地として知られる「つつじヶ丘」がある。およそ3万株が自生し、山に登らずとも遊歩道を散策しながら花を愛でるというのもありだ。霧島山の春の花はミヤマキリシマが有名だが、ノカイドウもぜひ観賞しておきたい。霧島山にのみ自生する固有種で、国の天然記念物に指定されている。咲きはじめの花は濃いピンクだが、開花すると白くなる。つつじヶ丘の近くにノカイドウ自生地があり、5月上旬~中旬が見ごろの時期だ。

 えびの高原へのアクセスは、霧島連山周遊バスを利用をすると便利。霧島市内の「霧島温泉郷」を起点に、観光スポットを経由しながら大浪池登山口やつつじヶ丘、えびの高原に行くことができる。

<おすすめルート>
【韓国岳(えびの高原口ルート)】

えびのエコミュージアムセンター(韓国岳登山口)→ 韓国岳 → 避難小屋 → 県境登山口 → えびのエコミュージアムセンター
(所要時間:約3時間20分)

韓国岳登山に便利な「霧島連山周遊バス」