長野県茅野市に位置する八ヶ岳の天狗岳(てんぐだけ・標高2,646m)は、岩峰の東天狗岳とハイマツに覆われた西天狗岳の二峰からなる。道中は苔むした森が広がる北八ヶ岳らしい静かな森歩きに始まり、ゴツゴツした岩場やハイマツに覆われた稜線が現れるなど景観の変化に富んでいるのが特徴だ。山頂からは八ヶ岳連峰をはじめ、南アルプスや中央アルプスなどを望むことができ、展望のよさでも人気が高い。
日帰りだけでなく、途中にある3か所の山小屋で宿泊もできるため、テント泊に挑戦したい人はもちろん、まずは山小屋泊から始めたい人も、自分の体力やスタイルに合わせて計画を立てられる。
筆者は登山を始めたばかりの9年前、山小屋泊で東天狗岳登山に挑戦した経験があるのだが、2025年の春、テント泊登山の足慣らしをしたいと考え「登山口からテント泊の拠点まで3時間程度で辿り着ける」「難所が少ない」といった理由から、天狗岳で2年ぶりのテント泊登山に夫と挑戦することにした。
今回は本格的な夏山シーズン前の足慣らしにもぴったりで、久しぶりのテント泊登山の感覚を取り戻したい人や、初めてのテント泊に挑戦してみたい人にもおすすめの天狗岳登山を紹介する。
■麦草峠から黒百合ヒュッテへ
登山の玄関口は中央自動車道・諏訪ICから約30分、もしくは中部横断自動車道・八千穂高原ICから約30分の場所にある白駒池入り口有料駐車場。佐久平駅や茅野駅からバスも出ているので、アクセスしやすいのが特徴だ。駐車場にはトイレもあるので、ここでしっかり準備を整え、登山届を提出し登山スタートだ。
駐車場から約15分は勾配のない木道を歩いて白駒池を目指す。この付近は北八ヶ岳らしい苔むした森が広がり、白駒池とのコントラストが見応えあるので景色を楽しみながら歩いてほしい。
白駒池周辺には白駒荘があり、ここでの宿泊も可能だ。夕方近くに駐車場に着いて、ここを拠点に登山をするのもいいだろう。白駒池を過ぎると徐々に勾配が急になるが、歩きやすい木道が続くので、重いテント泊装備を持っていても負担が少ない。
この辺りは北八ヶ岳らしい森の景色が楽しめるので、先を急ぎ過ぎず歩くのがおすすめだ。木道は途中からなくなるが、白駒池から40分ほど歩くと最初の休憩地点である高見石小屋に辿り着くので、無理のないペースで進んでいこう。
白駒池から高見石小屋までは約45分で到着でき、ここは山小屋泊・テント泊のいずれにも対応している。高見石小屋に宿泊する場合は駐車場から約1時間で着くため、例えば朝はゆっくり出発し、昼頃に駐車場へ到着するスケジュールも組める。この予定であれば早朝に家を出て運転する必要がないため、筆者の知人もこのスタイルで天狗岳登山を楽しんだことがあるそうだ。
筆者らは高見石小屋で行動食を補給した後、この先にある黒百合ヒュッテで宿泊する予定だったため、そのまま進むことにした。ここからは、ゴツゴツとした岩場が現れ、勾配も急になっていくので踏ん張って歩いていく。
足元の岩場が増え、大きい岩の間を登るのに苦戦しながら1時間30分ほど歩くと標高2,496mの中山に辿り着く。久しぶりの登山だった筆者は結構疲れてしまったが、圧巻のパノラマビューを眺めて休憩することでかなり回復できた。
ここから30分ほど岩場を歩いていくと、宿泊予定地である黒百合ヒュッテに到着する。駐車場から約3時間、11時ごろにたどり着いたのでここでテント泊の受付や設営、昼食を挟んで翌日の体力をチャージした。