■中世のまま時を止めた修道院
集落の中を通り過ぎ、村外れのハイキングコースへと足を進める。足元の枯れ葉を踏み締めるたび、サクサクという軽快な音が響く。鳥の鳴き声がこだまする道を森林浴を楽しみながら進んでいくうち、道は徐々に登り坂になり、しばらく行くと崖の上のサンクチュアリへと続く石段が現れた。急なつづら折の石段を息を切らしながら登り、時々立ち止まっては目の前に開けたリエーティ盆地と背後の雪山のパノラマに魅入る。雄大でどこか優しさを感じる自然風景に見惚れていると、聖フランチェスコがなぜここに聖域を作ったのか、その理由が少しわかるような気がしてきた。
山と一体化するように建てられたサンクチュアリ(修道院)
村の周囲にある自然遊歩道からサンクチュアリへと続く石段
石段を登っていくと、聖なる谷の雄大な景色が徐々に現れてくるつづら折の石段を登り切ると、ようやくサンクチュアリの入り口が見えた。一年中世界各地から巡礼者が訪れるフランチェスコ修道会の聖地は、なぜかとても穏やかな静寂に満ちている。入り口前の広いテラスからは聖なる谷の大パノラマが見渡せ、その絶景に思わず感嘆のため息が漏れた。このサンクチュアリは現在もフランチェスコ会の修道院として機能しており、世俗を離れてこの地で暮らしている修道僧もいる。眼下に広がる雲海と渓谷の森を眺めていると、ここが現代の私たちの暮らしとはかけ離れた別世界であるかのような錯覚に陥ってくる。
サンクチュアリには修道僧の部屋や礼拝堂、聖フランチェスコの洞窟、プレゼー ぺの展示室、売店などが集まっている
サンクチュアリのテラスからリエーティ盆地とアペニン山脈を眺める
俗世から隔離されたようなこの場所で今も修道僧が暮らしている