■ケーキもビールもある天空の楽園!?
合戦小屋からは1時間ほどで宿泊する山小屋の燕山荘(えんざんそう)に着くのだが、きつい急登が待っていた。だが、天気予報通り快晴が広がりつつあり、みんな重くなってきた脚を一歩一歩前に出し続ける。
「早くケーキが食べたい! ご褒美がほしいっす」とは、燕岳は2回目の女性部員ワカ。前回は体調不良もあって楽しめなかったらしく、今回の山行とグルメにかける思いは並ではない。
13時、無事に燕山荘に到着。予想通りのタイムですばらしい。さあ、晴れているうちに山頂アタック(燕山荘からは約30分)しようかと思ったが、その前にワカ様ご所望のスイーツタイム。ケーキは夕方に売り切れることもあるしね。ショートケーキ、ガトーショコラ、ロールケーキなど種類も豊富で、ここが標高3,000mの山小屋とは思えない。
おやつタイムも終わり、いざ山頂アタック。風は多少あるものの、気温も天気も最高の午後。誰も高山病にならず、しっかりした足取りで2,763mのピークハントを達成。登山部の歴史を刻んだ瞬間の笑顔はみんな最高だった。
会社の仲間といっても、部署が違えば同じ編集職でも全然仕事内容が違ったり、まったく関わらない部署もあったりするが、登山をしているときは何も関係なく楽しいひとときを共有できるのだ。
さて、ここからが酒好き登山部の宴は本番。燕山荘では生ビールも飲める。中ジョッキ1,200円と下界よりは値は張るものの、感謝感激。つまみは持ち込んだスナック、売店のおでんや唐揚げなど。
夕食は燕山荘名物のハンバーグと煮物で大満足。本日の消費カロリーは1,000kcalを超えているし、ご飯2杯はマストだろう。
燕山荘からは谷を隔てて槍ヶ岳も見える。多くの登山者の憧れであり、ここ燕山荘からは大天井岳を通る[表銀座ルート]で1泊すれば縦走も可能だ。
登山歴40年のほりどんが語る「北アルプス戦記」を聞きながら、「次は槍だ!」と初めて来たメンバーの鼻息は荒い。それほどまでに燕山荘から見た槍ヶ岳や穂高連峰は美しい。6時間歩いてここまで来た価値は確かにある。
■満点の星に登山欲がますます沸く
夕飯後は、わざわざ担いで持ってきたウイスキーや焼酎を飲みつつ、与太話で盛り上がって夜も更けていく。酔いどれ一行が外に出ると満点の星が見える。誰かが、「今まで見たなかで一番美しい夜空です」と言うと、ここでまたまたワカが登場。「いやぁ、モンゴルの星空よりこっちのほうが綺麗っすよ!」と本日のハイライト。やんよやんよとエモさは最高潮の時を迎え、夜9時には就寝したのだった。
翌朝も天気はよく、朝食後のご来光も見事で八ヶ岳から綺麗に昇ってきた。織りなす光が美しい。下山は登山者も多く、ゆったりしたペースで昨日の疲れが残る脚でひたすら歩く。
創部当初に立てた「北アルプス登山」の目標は達成。来年の登山を楽しみに帰路に着いたのだった。