■フユシャクのトップバッターは「クロスジフユエダシャク」

 そんなフユシャクの中で、シーズンの最初に出現する種が「クロスジフユエダシャク」。時期としては、11月下旬くらいから見られ始め、12月入ると多く見られるようになる。

 オスは蛾らしいイメージの姿で、はねには2本の横線(1本ははっきり見えないことも多い)がある。

クロスジフユエダシャクのオス

 メスははねがまったくないわけではないが、根元に小さく残っているのみだ。

クロスジフユエダシャクのメス

 クロスジフユエダシャクは昼行性で、幼虫はクリ、コナラ、クヌギなどの葉を食べる。発生時期には、昼間に雑木林などで、ヒラヒラと飛んでいるオスの姿を見ることができる。個体数も少なくないので、出会うのはそれほど難しくはない。フユシャクのほとんどは夜行性なので、他の種と比べて観察しやすいのも嬉しいところだ。

 運が良ければ、カップルが成立している瞬間を見ることができるだろう。

クロスジフユエダシャクのオスとメス

 冬は虫に出会う機会が減り、特に活発に活動する姿が見られることは少ない。そんな時、元気に活動しているフユシャクを見られると、嬉しい気分になるものだ。

 フユシャクはサクラやクヌギ・コナラを食草にするものが多く、そのような樹木がある場所では、季節の進みに応じて様々な種が入れ替わり立ち替わりで見られる。フユシャクは冬でも昆虫観察の楽しさを体験させてくれる虫なので、ぜひ注目してみてほしい。