天気が安定していた今年の夏山シーズンでしたが、9月に入った途端、打って変わって不安定な空模様が続いています。2泊、3泊と長期の山行を予定していたのに、天気が悪くて変更を余儀なくされた方も多いのではないでしょうか。
「長い日数は歩けなくなってしまったけど、1日だけでもしっかり登りたい!」
そんな体力と山欲を持て余しているあなたにおすすめしたい日帰りコースが、八ヶ岳の南端に位置する網笠山と権現岳です。それぞれ適度な登り応えがある山ですが、今回はちょっと欲張って2つの山頂を1日で踏むプランを紹介します。
◼️対照的な山容を持つ2つの山

編笠山は八ヶ岳の南端に位置する、標高2,524mのなだらかな山。対して、権現岳はそのすぐお隣に位置する鋭い岩峰で対照的な山容です。

この時期の日帰りに、編笠山と権現山をおすすめしたい理由は4つあります。
まず1つめは、首都圏からの近さ。この2座は八ヶ岳の南端、つまり東京から向かうと一番初めに出てくる八ヶ岳の山で、都内から道が空いていれば車で2時間ほどの距離です。電車の場合でも、小淵沢駅からタクシーで20分ほどと、駅から登山口までかなりの近さですね。
◼️スタートから標高が高いのもポイント

2つめの理由は、両山を周回するための起点となる登山口・観音平の標高が1,560mと、スタートから標高が高くて涼しいこと。まだまだ暑さの厳しい9月の登山には大事なポイントです。

周回する場合、まずは観音平から八ヶ岳横断歩道方面に30分ほどトラバースしてから、権現岳を目指して登り始めます。編笠山から時計回りに周回することもできますが、反時計回りコースが圧倒的におすすめです。理由は後述します。

◼️累計標高差は3,000m近く、登り応えあり
おすすめ理由の3つめは、しっかりと登り応えがあることです。
編笠山、権現岳のどちらか1つを目指しても累計標高差は2,000m前後あります。より歩き応えを求めるなら、この2つを繋ぐ日帰りプランを組むと、ルートタイムは8時間半ほど、累計標高差は3,000m近くになります。

権現岳の1時間ほど手前にあるピーク、三ツ頭までは八ヶ岳らしい針葉樹の森の中を登っていきます。
3時間ほどひたすら登りが続きますが、大きな岩が点在する豊かな針葉樹の森歩きはとにかく気持ちがいい。今の時期はたくさんのキノコを見つけることもでき、退屈せずに歩けると思います。
◼️三ツ頭からは急に岩山らしい雰囲気に



三ツ頭からは辺りの様相がガラリと変わって、急に岩山らしい雰囲気になります。撮影日はあいにくのガスでしたが、晴れていれば、ここからの見上げるまるで槍ヶ岳のような荒々しい権現岳のかっこよさにはシビレますよ。
ここからは、これまでの登りと打って変わって、高山にいることを実感できる気持ちのいい稜線歩きとなります。9月とはいえ、まだまだ日焼け対策を怠らないようにしましょう。



三ツ頭からハイマツ帯や鎖場を抜け、1時間ほどで権現岳の山頂です。その名の通り、古くから信仰の対象となってきた山で、山頂には鉄の鉾が立てられ、直下には石の祠や石碑があります。古くは八ヶ岳権現と呼ばれてきました。晴れた日に山頂から望む、天狗尾根の岩峰を従えた赤岳の眺めは格別です。
ここで往復すると、だいたい6時間くらいのコースタイムになります。
