■秋の夜長の天体ショー。見上げた空に夏から冬へとつながる天の川

冬の天の川が、ベテルギウス・プロキオン・シリウスを結ぶ冬の大三角を斜めに貫く光景は圧巻だ

 冬の大三角の一角、こいぬ座の一等星プロキオンのそばには、2025年は、ひときわ明るい太陽系第5惑星・木星が寄り添う配置である(惑星配置は年ごとに変わる)。双眼鏡を向ければ、ガリレオ衛星(イオ・エウロパ・ガニメデ・カリスト)が点の列となって控えめに並ぶ。

■寝袋で星を待つ、秋の夜更かしのススメ

空を広くゆったり見渡して待つ夜 放射点とは違う方向に流れる流星も時々ある(広島湾・似島の街外れ)

 観察スタイルは場所に合わせればよい。ハンモックでゆられて観るもよし、地面に厚めのマットを敷いて寝袋にくるまるもよし。冷える場所でも重ね着をして寝袋に入れば十分対応できる。いずれの場合も、地面からの冷え対策と体勢を変えやすいチェアやコット、暗順応を守る赤色ライトを備えておくと安心の装備である。

 温かい飲み物は魔法瓶で持参するか、お湯を沸かしてスープやコーヒーを用意し、マグの湯気の向こうに星を見送るのがよい。

■星空との語らい

高くかかるオリオン座と冬の星々。暗さと静けさを守り短く共有する“星空との語らい”

 流星が流れたら、「東」「オリオンの左」「やや高い」といった感じで方位・基準・高さの三語で短く伝えると追いやすい。歓声や会話は控えめにし、ライトは赤色、スマホは伏せて最低輝度で暗さを保つ。撮影者がいる場合は、露光中の合図と消灯タイミングを決めておくと互いに快適だ。暗さと静けさを守る心遣いこそ、星空と語らう基本である。

■誰にでもできる“星を楽しむ夜”

山口県・周防大島から望む瀬戸内の夜空。広島市の灯りの上にオリオンと冬の星々が瞬く

 オリオン座流星群は、少し街灯から離れるだけで、誰でも味わえる自然のショーである。特別な知識や高価な機材は要らない。必要なのは空を見上げる時間と、少しの好奇心だけだ。条件の整う2025年秋の夜、自然の中で“星を楽しむ夜の過ごし方”を堪能してみてはいかがだろうか。