富山県黒部市の「黒部峡谷鉄道」は、黒部川沿いを走りながら峡谷の景色を楽しめるトロッコ電車の旅が人気。従来は、宇奈月駅から欅平駅までの20.1kmを結んでいるが、2024年1月の能登半島地震の影響により現在は走行ルートが限定されている。2025年7月現在は、宇奈月駅から猫又駅までの11.8kmのルートを往復で運転。猫又駅は通常ならダムや発電所の工事関係者しか乗降できない駅だが、今季は期間限定で一般乗客も乗り降りできて、景色やフォトスポットを楽しめるようになっている。
■期間限定で「猫又駅」に乗降可能!

猫又駅は日本で唯一、駅名に「猫」の文字が入っためずらしい駅。駅名の由来は、一説によると、その昔、猫がここまでねずみが追いかけてきたが、「ねずみ返しの岩壁」という垂直に切り立った大岩壁にねずみが行く手を阻まれて引き返し、猫もまた引き返していったから「猫又」という呼ばれるようになったのだとか。
その伝説にちなんで、猫又駅に設置されているフォトスポットにはちょっとした仕掛けが施されている。まず、赤い鉄橋のようなオブジェにスマートフォンなどを固定し超広角モードに設定、フォトフレームのようになった場所でねずみと一緒に逃げるようなポーズで撮影すると、手前に置かれた猫のオブジェも映り込み、猫に追いかけられているトリックフォトが撮影できるのだ。

■展望台の景色や大迫力の重機も見られる

また、猫又駅には展望台も新設されている。高さ3.5mほどの展望台に上ると、黒部川の流れを間近に感じられ、対岸の山並みまで一望できる。トリックフォトが撮れる撮影スポットのすぐそばにあるので、気軽に登って展望を楽しめる駅のお楽しみスポットのひとつといえるだろう。猫又駅には限定のスタンプもあり、乗車チケットや手帳などに捺印して旅の思い出にするのもおすすめだ。



猫又駅は工事関係者専用の駅とあって、周辺には重機がいくつも並んでいる。山の中で活躍している大迫力の重機を間近に見られるのも、猫又駅に降りられる今回のタイミングだけだろう。猫又駅の滞在時間は20分間。それでも十分、満喫できる特別感がここにはある。
猫又駅はトロッコ電車が全線再開されると降りられなくなるので、夏の新緑から秋の紅葉まで、今季だけの特別な場所にぜひ訪れてみよう。