■なぜマナーが保たれている?「文化継承」型の運営に秘められたヒント

 neguraでは、レンタルを一切行っていない。そこには「道具を持っていて、ある程度経験のある人が来る設計」といった渡部さんの想いが込められている。

 さらに、受付時にはその場で「直火あり/なし」を利用者に確認しており、返答や雰囲気を見て説明の内容を変えているという。「直火をやったことがない方には、僕が教えます。うちで覚えて帰ってもらえたらうれしいです。本当におもしろいですから。僕、直火の伝道者みたいになりたいんですよね」と渡部さん。

 実際、取材中にも筆者の息子にマッチの使い方やマシュマロの焼き方をとても自然に、楽しそうに教えてくれた。その教え方の上手さと余裕に、思わず感心してしまった。

 「これやっちゃダメ、あれやっちゃダメって注意ばかりするのって、ちょっと感じ悪いじゃないですか。だから受付では、なるべくコンパクトに、でも大事なことはきちんと伝えるようにしています。受付ではちょっとした会話が大事だなと思っていて、“この人感じよかったな”って思ってもらえたら、“この場所をきれいに使いたい”って自然に思ってもらえる。そういう空気って、積み重ねなんですよね」

 「この人の活動を応援したい」「このキャンプ場をきれいに使いたい」。オーナー渡部さんの誠実な人柄がインタビューを通して伝わり、そんな気持ちが自然と湧いてくるのも納得だ。

■静かに焚き火を囲む贅沢な時間!  今こそ本来のキャンプを楽しもう

「整っている」だけじゃない。ここには、絶景もある

 コロナ禍のキャンプブームの頃に「マナーの悪いキャンパーに遭遇し、嫌な思いをした」という人も多いはず。でも、今ならきっと違う。落ち着いた雰囲気の中で、静かに焚き火を囲む時間が戻ってきているはずだ。

 neguraでは2か月前から予約が可能。秋の計画を立てるにはちょうどいいタイミングだ。本来のキャンプの魅力を味わうには、今が絶好機なのかもしれない。

 

【施設情報】negura campground
所在地::〒419-0107  静岡県函南町平井1689-55
予約方法::公式サイトよりオンライン予約
主な設備:水洗トイレ、洗い場、灰捨て場、自動販売機
アクセス:東名高速道路 沼津ICより約40分
その他:直火OK(komichi、kokageは全面、他は常設ピットのみ)。ゴミは原則持ち帰り。ペット可(tsudoiのみ不可)。

公式サイト: https://negura.website/

●【MAP】negura campground