■何もしないアウトドアがくれる、3つの効用

夕暮れ時のキャンプ場も普段の日常にはない風景。時間を気にせず、1日を過ごしてみよう

 実際に何もしない時間を過ごしてみると、以下のような効用を感じることができるはずだ。

●1.「決めなくていい時間」で、心がゆるむ

 家庭では子どもの予定、食事の段取り、荷物の準備など、常に何かを“決め続ける”日々が続いている。職場でも家庭でも、自分の意思決定で休む暇はない。キャンプで「今日は何もしない」と決めることで、“決めなくていい時間”が生まれ、頭の中の緊張がゆるむ。ご飯の時間も、遊びの内容も、何も決めずに流れに任せる。そんな時間が、家でも職場でもなかなか得られない「心の余白」を作ってくれるはずだ。

●2. 友人や家族との関係が“イベント”から“共有”へと変わる

 つい子どもに「何をさせよう」「楽しませなきゃ」と思ってしまうのが親心だが、詰め込んだイベントは、自己満足になりがちなこともある。何もしないアウトドアを“する”キャンプでは、「一緒にのんびりする」「ただ隣に座る」「焚き火を見ながら話さない」など、“イベント”ではなく“空気を共有する”関係が生まれる。それは、誰しもストレスがなく、自然体でいられる理想のリラックス時間になるに違いない。

● 3.子育てや仕事の“モード”を一時的に脱げる

 日々の生活では、「親として」「職場の一員として」機能的に振る舞うことが求められる。しかし、アウトドアの“何もしない時間”は、その役割を一度手放すチャンスになる。スマホを閉じ、手を止め、誰かのために動くのではなく、自分に意識を向ける時間を作ってみては。これは、夫婦間でも「ただの自分たち」に戻る大切な時間になる。

■無理して楽しむアウトドアを卒業しよう

北海道・朱鞠内湖での夕暮れどきの一枚。普段出会えない景色を見に行くだけでいい。特に何もしない贅沢を堪能しよう

 アウトドアは楽しむためのものだが、「楽しむために頑張る」必要はない。仕事や家庭で頑張っているからこそ、自然の中では力を抜いていい。何かをするためではなく、「ただそこにいる」ために自然へ行く。そんな休日が、心身を整え、また日常へと戻るためのいい準備になる。

 「やらない予定」を持って出かけてみてほしい。それが、いま最も現代人に必要なアウトドアのスタイルかもしれない。