■古刹から望む柔らかな雰囲気を纏う深緑「天球院」
天球院(てんきゅういん)の方丈には152面の障壁画が残されており、そのうち主要な3室にある金箔の障壁画が56面。他にも水墨画、杉戸の彩色画を庭にアプローチする道すがら、じっくり見学することができます。
そんな歴史ある寺院にあるのが、苔と深緑のグラデーションが美しい庭です。庭を望む書院は西陣近くから移築された、お寺にしては珍しい二階建て。今までは障壁画をメインに拝観する機会を設けていたようで、書院の庭の公開は初の試みです。
廊下を進んで建物に入ると、畳敷きのお部屋に広々とした縁側。その先にサツキの白と濃いピンク、モミジの赤色がアクセントになった深緑の庭が広がっています。
地面は苔で覆われ、苔に囲まれる形で飛び石が配置されているため、石が単に置いてあるよりも柔らかい雰囲気。低木も丸く刈られ、全体的にふんわりとしています。

窓枠にはまっているガラスも古いものだそうで、ガラスを介して庭を見ると、少しゆらゆらと揺れて見えます。ふんわりとした庭なので、ガラスの表面の揺れとも相性抜群です。
ちなみに方丈と書院を結ぶ廊下から庭の一角を望むことができます。つくばいに流れる水と苔、深緑とバックに見える書院の屋根と縁側がとても絵になります。

書院から望む庭よりも緑の主張があり、石の配置が目立っています。何より書院が視界にダイレクトに入ってくるので、少し渋い雰囲気です。同じ庭でも見る角度によって雰囲気がガラッと変わって面白いですね。
天球院は通常、非公開の寺院ですが、JR東海ツアーズのプラン限定で2025年8月31日まで拝観することができます。
【DATA】
天球院
住所/京都府京都市右京区花園妙心寺町46
※ツアー以外は非公開
http://tenkewin.com