■石を運び、石を組む
テラスの階段付近にサンダルでも歩ける道を作るため、石を使った道づくりも行った。もちろんこれもまた手作業。現場周辺で使えそうな石を探し、地域の許可を得て崩落地から運んだり(道路に落ちる石の撤去にもなり、まさに一石二鳥)と、もうジムいらずの筋トレ作業をやり続けた(しんどすぎて写真を1枚も撮ってなかった……)。
集めた石は、庭師たちが手際よく組んでいく。まるでパズルのように、一つひとつの向きやバランスを見ながら。できあがったのは、素朴だけど凛とした石畳の小道だった。

■少しずつ、整っていく
これらの整備は、何日間もかけて行われた。寒い時期もあり、雨や雪がちらつく中での作業もあった。ボランティア参加者の中には、腰をさすりながら石を運んでいた人もいた。それでも、みんなでやるから進んだ。「ととのう」ための場所を、みんなで「ととのえていく」。まさにそんな作業だった。
このサウナ村は、ただ単にサウナができればいいわけじゃなく、人だけがととのえばいいってわけでもない。サウナはあくまでも自然と繋がるための手段。だから周辺環境を整備するにしても、「自然を育みながら、人も自然もととのう空間」でありたかった。それが、この美しい自然の中でサウナをやる意味であり、この場所の守り手としての僕たちの責任でもあったのだ。

■派手じゃない。でも意味のある作業
こうして、ツリーテラスまでの最低限の動線が整った。すべて人力で、自然素材だけで、何日もかけて整えた道。簡単に言えば、「崩れない斜面」と「歩きやすい道」を作っただけかもしれない。でもそれが、「この土地の環境にも良い影響を与える形でできた」ということが、僕らにとっては大きな意味があった。
土留めの植物が根付いていくのは、数年単位の時間がかかる。石畳が踏み固められ、より安全になっていくのにも時間がかかる。だけどそれでいい。ここは急いで作る場所ではない。時間をかけてみんなで育てていく場所なのだ。広葉樹が根を張り、ハーブが香り、歩くたびに“ふっ”と深呼吸したくなるような道になるまで、ゆっくり整えていこうと思う。
次回は、サウナあとのお楽しみ、サ飯を作るためのエコかまど「愛農竈門(あいのうかまど)作り編」をお送りしていく。