「サウナが好きだ! アウトドアサウナで食べていきたい!」という純粋な夢を、初っ端からぶちのめす強烈なカウンターパンチがある。それが法的許可問題だ。

 これはアウトドアサウナ事業者が必ずぶち当たり、一度は心を折られてしまう最初の難関である。特に「公衆浴場法」に至っては、まだまだアウトドアサウナに対応しきれておらず、一言で言えば「四角い円を作りなさい」と言われるに等しい無理ゲーだったりするのだ。今回は、そんな法的許可問題との、四苦八苦の模様を記録として残しておく。

■サウナ営業の覚悟を問うてくる法的三人衆

 「川のほとりにステージを作ってサウナ営業したい!」

 このたった1行の夢を叶えるためには、以下の3つの法の番人をクリアする必要がある。

・河川法
・建築基準法
・公衆浴場法

 テントサウナを所有しているからといって、ノリで「サウナ営業でもしてみようかな〜」などと口走る浮かれた者どもに、法の番人たちは「覚悟とはなんぞや!? 本気とはなんぞや!? 返答せい!」を問うてくるのである。わかる人だけわかればいいが、男塾でいうところの“鎮守直廊三人衆”そのものなのである。

 僕自身、以前運営していた神崎川サウナ時代から、ずっとこの3つの法との激戦の日々を繰り広げていたが、今回の新ステージにおいても同様で、現時点でも調整を続けている。細かい部分まで解説していると大長編になってしまうので、簡単にここまでの戦いの軌跡を振り返っていく。

■第一の番人「河川法」

春まで、まだまだやるべきことは山積みだ

 まず川に関する基本的なことを書いておく。

 川、ないし河川に指定されている川原は、基本的に国民の共有財産であり、国民は許可がなくても自由に滞在することができる。ただし、個人の目的で勝手に建造物を設置することはできない。

 今回のテントサウナ設置予定は、河川ではなく、河川外の個人所有の土地をお借りしている。だから基本的には何の問題もないが、それとは別の「水位問題」というものあるのだ。行政によって、「ここまでは水がつく可能性があるよ〜」というラインが決められており、それを超えた位置にあると、自分の土地であっても営業目的の建造物が作れないのである。

 この水位ラインも、県が管轄する一級河川だと「ハイウォーター」という基準があり、それに該当しない市が管轄するような沢扱いの河川だと「砂防指定エリア」というものがある。今回の円原川は後者に該当するので、市の建設課に通って確認作業を続けた。

赤いのが該当地の砂防指定エリア。これにわずかでも触れたらアウト

 僕らの予定地が、「おい! 砂防指定! かすっているのかい? かすってないのかい? どっちなーんだい!?」という絶妙な位置だったので、それを証明するために、また苦労の日々が始まった。行政の担当者も何度も現地に足を運んでくれて、実地調査をし、図面に落とし込んでは提出し、不明点を聞かれたら、また実地調査をして図面を書き直して……という地味すぎる戦いをこなしていったのである。

実測をもとに砂防指定エリアとの境界を確定させる書類の一部

 その結果、最終的に「砂防指定エリア外であるッ!」というお墨付きをもらい、なんとか第一関門を突破した。もちろん想定外の大水も視野に入れて、さらに高い位置にツリーテラスを設置することとし、安全計画にも万全を期したのである。