■浮力を活かす釣りの妙。「釣れた」ではなく「釣った」喜び

重さが4g前後のシンキングミノーだと、ある程度速い流れの中でも、しっかり泳がせることができるが、ダイソー「ミノー(5㎝)」は2.6gと軽いため、目の前の流れを読み、ルアーを泳がせるコースをあらかじめイメージしておかないと上手くいかない。
始めはなかなかもどかしいかもしれないが、慣れると「釣れた」ではなく、「釣った」満足感を得ることができると思う。
わずか110円のダイソー「ミノー(5㎝)」だが、アクション自体は良好。使いこなせるかどうかはアングラーの腕にかかっているのだ。

やがて太陽が高く上り、川を明るく照らし出した。ダイソールアーのアクションがキレを増すとともにヤマメたちの活性も上がってくる。朝の不調がまるでウソのように連続ヒットが続いた。
終盤には、一つのポイントから何匹も釣りあげることができ、2人の歓声が絶えない楽しい時間が続いた。

釣友が半日使い倒した金黒色のダイソー「ミノー(5㎝)」のペイントはだいぶはがれてしまったけれど、ヤマメたちはそんなことおかまいなしに、ヒットし続けた。この日、若い釣友の引き出しにフローティングミノーが一つ新たに加わったのは間違いない。

渓流釣りではたくさん釣れると、歩くスピードが自然と遅くなってしまう。この日も予定していたコースの3分の2を過ぎたあたりで帰り時間が迫ってきた。やむを得ず、核心ポイントを釣ることなくこの日は終了。
結局、サイズにこそ恵まれなかったが、この日は2人ともダイソー「ミノー(5㎝)」のみでそれぞれ10匹以上のヤマメを釣ることができ、満足のゆく一日を過ごすことができた。

「山笑う」という俳句の季語は本来、3月中旬から下旬のことらしいが、4月半ばのこの日、散りゆく山桜を見ていると、目の前の山々が筆者たちにほほえみかけているような気がした。
普段シンキングミノーで楽しんでいるアングラーも、ぜひダイソー「ミノー(5cm)」で、繊細かつ趣深いフローティングミノーの釣りにチャレンジしてみてはいかがだろうか。
【筆者の使用タックル】
ロッド:4.9ft渓流用ルアーロッド
リール:2000番のスピニング
ライン:フロロカーボン0.8号
ルアー:ダイソー「ミノー(5cm)」